戦前は、厳然として「家督制度」がありました。
主に家を継ぐのは、長男です。
その長男が、すべての財産を相続するのが当たり前ともなっていました。
もちろん、それに対しては誰も、文句を言うことはできません
従がって、相続争いをする余地は、全くともありませんでした。
相続という " 偶然ともいえる事情 " で財産を得る機会が、長男以外にはなかったといえます。
ところが戦後、家督制度が廃止されました。
それにより、長男以外の子供たちにも、相続の権利が認められました。
そのため、相続人1人ひとりの権利意識が、高まってまいりました。
それぞれが競って、自己の権利を、主張するようになったのです。
しかも、団塊の世代を筆頭に、こうした時代に育った世代は、ローンの支払いや、子供の養育・教育に高額の費用がっかってまいります。
さらに、企業の終身雇用制や、年功序列の給与体系といったものの崩壊が、現われてまいります。
その結果、相続の際に出来るだけ多くの財産を譲り受けたいという思惑が生まれてくるのも、これまた当然の成り行きとも言えましょう。
そこで、その思惑を持った蓄えの少ない世代が、とみに増えるという社会的現象が現われてまいります。
以上のこれらの事情が、正しく、相続人同士がもめる一因ともなっているのでしょう。
行政書士 平 野 達 夫
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