相続人が相続権を剥奪されるケースには、「欠格」と「廃除」があります。


先ず「欠格」とは、本来相続人となるべき者が、一定の不正行為を行ったことによって、法律上当然に相続の資格を失うことをいいます。


一方「廃除」とは、遺留分を有する推定相続人に、虐待や、重大な侮辱、著しい非行があったとき、請求に基づいて家庭裁判所が、審判または調停によって、相続権を剥奪する制度です。


そこで具体的な「欠格事由」としては、故意に被相続人または先順位もしくは同順位の相続人を殺し、または殺そうとして刑に処せられた者、詐欺・強迫によって被相続人の遺言書の作成・撤回・取消・変更を妨げた者、相続人の遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した者などがあげられます。


他方「廃除の要件」としては、廃除される者が、遺留分を有する推定相続人であること、そして被相続人に対する虐待または重大な侮辱、その他の著しい非行があることです。

それによって、家庭裁判所に廃除の請求をいたします。


また、これが生前の廃除であれば、被相続人が家庭裁判所に請求いたします。

遺言による廃除であれば、遺言執行者が、相続開始後、遅滞なく請求することとされています。


「著しい非行」などは、その程度や内容によって、家庭裁判所が判断することになります。

虐待、侮辱、非行があっても、被相続人の側にも、その責任や原因がある場合がありましょう。


更に、そのような行為が一時的であった場合などには、この「廃除」が認められないケースも、出てまいります。


     行政書士  平 野 達 夫

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