「遺産分割協議」は、一つの財産権を目的とする法律行為といえます。

これには、共同相続人の全員が、その法律行為を行うことができる能力を有していることが、先ずは必要条件となります。


そこで問題となりますのが、共同相続人の1人が、認知症の症状を抱える場合です。

その症状が重く、相続という状況の認識や意見を述べる能力を欠く状態にあるときは、どうでしょうか。


その人を遺産分割協議に参加させたとしても、後に意思能力を欠いていたという理由から、無効とされるおそれが出てきます。


このような場合には、その親族は、家庭裁判所に後見開始の「審判の申立」の手続をします。

これは、認知症の症状の程度により、「成年後見人」、「保佐人」、「補助人」に分けられます


その後、家庭裁判所の選任の決定を得て、それら選任された成年後見人らを交えて、遺産分割協議をすることになります。


ここで注意することは、家庭裁判所に後見開始の申立した時からその決定までには、かなりの期間がかかるということです。

少なくとも、3,4ヶ月は見た方がよいでしょう。


相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から計算して、10ヶ月以内です。

月日の経つのは、早いものです。


それまでに遺産分割協議を有効なものとして終了させなければなりません。

それに間に合うように、早めに、種々スケジュールを立てる必要もありましょう。


     行政書士  平 野 達 夫

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