「家を守る意識の変化」と密接な関係にあるのが、「個人の権利意識」の高まりです。

今や、「相続人の権利」を主張することが、当然という時代になっています。


特に近年では、「核家族化」が進んできています。

かっての何世代かが同居して生活している家族が、少なくなってきています。


また、「長男だから・・・・」とか、「長女だから・・・・・」ということは、関係なくなっています。

すなわち、「権利としては、みな平等」という考え方が、当たり前の時代になっています。


個人の権利を主張すること自体は、悪いことではありません。

しかし権利には、義務が伴います。


問題は、自分の権利のみを主張し、義務は知らん顔をするという風潮が、ごく当たり前に広がっていることです。


相続においても、こうした傾向が目立つと言えます。

兄弟姉妹の間では、「当然の権利」として主張し合います。

そしてそれが、相続争いの元ととなって、泥沼となって発展するケースが多くなってきています。


確かに相続人には、財産に関して「法定相続分」などの権利が存在します。

しかしそこには、被相続人の配偶者、すなわち、相続人の親の扶養や、家の先祖代々の墓守などの義務も、当然のことながら発生します。


そうしたことを十分考慮した相応しい分割が、求められてしかるべきものでありましょう。

単なる各人の我がままだけが先立ち、勝手な権利の応酬となることだけは、避けたいところですね。


     行政書士  平 野 達 夫