すなわち、親子関係にない者同士を、法律上、親子関係にあるものとすることです。
家父長制を基本とした家族制度をとる社会において、主に家の後継者を得るために、必要としたものです。
それが養子縁組とも云えましょう。
日本の歴史の中でも、封建制の色濃い家族制度の是非が論じられてきました。
戦後日本国憲法の制定から、家族制度の大幅な改正をみて、より民主的で、社会生活の必要性に適応する形で、この「養子縁組」が存続すると云えます。
養子縁組によって設定された親子関係の中で、それぞれを、「養親」、「養子」、女性の場合は、「養女」と呼んでいます。
養子縁組には、「普通養子」と「特別養子」の2つがあります。
普通養子縁組とは、養子が実親との親子関係を存続したまま、養親との親子関係をつくるというものです。
すなわち、二重の親子関係となる縁組のことを云います。
この場合における養子を普通養子と云います。
一方、特別養子縁組とは、養子が戸籍上も実親との親子関係を断ち、養親が養子を実子と全く同じ扱いにする縁組ことを云います。
この場合の養子を特別養子と云います。
この特別養子縁組は、家庭裁判所に申し立て、決定を得る必要があります。
これには、養子となる者が、「6歳未満」であることなど、種々の条件があります。
養子は、実子と変わりなく相続人となります。
従がって、被相続人より先に死亡した養子の子は、「代襲相続人」となります。
しかし、養子縁組前に出生した養子の子は、被相続人の直系卑属とはならないため、代襲相続人とはなりません。
なお、特別養子は、養子縁組により、実親関係が終了していますので、実親との関係では相続人とはなりません。
すなわち、特別養子になった子と、その実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了しますので、養親の配偶者が実親の一方である場合を除き、実親は相続人とならないことも注意しましょう。
以上、普通養子は、実親との親子関係は継続しますが、特別養子は、実親との親子関係は消滅します。
お分かりいただけましたでしょうか。
行政書士 平 野 達 夫