遺言者が公証人役場に赴き、「公証人」の面前で遺言したい内容を口述します。
その口述した内容に基づき作成された文書を、公証人が「公正証書」にします。
これを「公正証書遺言」と云います。
公正証書遺言は、「証人」の二人以上の立会いが必要です。
すなわち、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口述し、公証人がそれを筆記します。
これを公証人が、遺言者及び証人に読み聞かせます。
遺言者及び証人において、当該筆記が正確で間違いないものであることを認めたときに、各人が署名押印します。
最後に公証人が、適切な手続に従がって作成された旨を付記し、署名、押印します。
ここに、「公正証書遺言」が成立します。
「口述」とは、遺言者本人が公証人の面前で述べることです。
証人になれない者としては、「未成年者」、遺言者の「推定相続人」、「受遺者」、並びにこれらの配偶者及び直系血族者などが上げられます。
証人の署名を欠いた遺言書は無効です。
証人は、遺言の全てに立ち会うことが必要です。
なお、口がきけない人や耳が聞こえない人が公正証書によって遺言する場合は、公証人及び証人の前で、筆談や通訳人の通訳を通して申述し、遺言します。
また、遺言者が病院や施設などに入院していて公証役場に行けないときは、公証人が入院先へ出向くことも可能です。
作成された遺言書の「原本」は、公証役場に保管され、正本と謄本が遺言者に交付されます。
滅失することはなく、いつでも対応が可能です。
夫婦であっても、同一の公正証書で共同の遺言をすることは、ご承知のように出来ません。
行政書士 平 野 達 夫