前回に続いて説明いたします。


相続の放棄は受理されますと、申述の期間内であっても、撤回できません。

ただ、「取消原因」がある場合には、6ヶ月以内に家庭裁判所に,「相続放棄の取消」を申述することができます。


この「取消原因」には、次のようなものが上げられます。

相続放棄の申述が、


① 法定代理人の同意を得ないで、未成年者によってなされた場合

② 成年被後見人によってなされた場合

③ 保佐人の同意を得ないで、被保佐人によってなされた場合 

④ 詐欺又は強迫によってなされた場合 

⑤ 後見監督人がいるのに後見人がその同意を得ないで、被後見人を代理し、又は未成年被後見人に同意を与えてなされた場合

などです。


なお、相続放棄の申述書が偽造で、他人が無権限に署名捺印を冒用したものとか、相続の対象その他に「要素の錯誤」があった場合です。


そのような場合には、受理された相続放棄の申述は、無効となります。

この無効は、裁判外、裁判上、いつでも主張することができます。


     行政書士  平 野 達 夫