「相続」と「遺言」について、これから何回かに分けて、ごく一般的、基本的な事柄を中心に述べてまいりたいと思います。
何かと十分説明の行き届かない点も出てくるかも知れませんが、皆様方のご理解とお力添えをお願いするところです。
先ずは「相続」は、「被相続人」の死亡によって、開始いたします。
相続とは、被相続人の死亡により、その者が以前から持っていた財産上の法律関係が、当然に、そして包括的に相続人に承継されることを云います。
また、その「財産上の法律関係」には、被相続人が持つ「債権」だけでなく、「債務」も含まれてきます。すなわち、相続人は、原則として、被相続人の権利のみならず、義務をも承継することになるわけです。
被相続人の相続開始の時に、生存する一定の立場にある者が、法律上、当然に相続人になります。これを民法の、いわゆる「法定相続人」と云います。
この法定相続人としては、「配偶者のみ」、「配偶者と子」、「配偶者と直系尊属」、「配偶者と兄弟姉妹」、「子のみ」、「直系尊属のみ」、「兄弟姉妹のみ」、「相続人不在」の各ケースがあります。
なお、「子」、「兄弟姉妹」が相続人として含まれる場合には、いわゆる「代襲相続」が発生する可能性も出てきます。
また、胎児に関しては、民法上特例があり、既に生れた者とみなして、相続人の仲間入りとなります。
なお、各相続人の相続分は、被相続人の「遺言による指定」がない限り、原則として、民法の定めに従がい、それぞれ「法定相続分」となります。
もちろん、相続人全員の合意による「遺産分割協議」がなされた場合では、法定相続分と異なる割合で、遺産分割をすることは可能です。
行政書士 平 野 達 夫