Q 補助や任意後見の場合でも 、鑑定は必要なんでしょうか。
A 補助及び任意後見については、鑑定は必ずしも必要とはせず、多くは医師の診断書で足りるとされています。
これまでの成年後見制度では、「禁治産者」、「準禁治産者」のいずれについても、「鑑定」は、必要とされていました。
新しい後見人制度においても、「禁治産者」、「準禁治産者」に相当する「後見」及び「保佐」では、原則として「鑑定」が必要であるとされています。
補助及び任意後見においては、精神障害により判断能力が不十分な者を対象にしております。
その判定するに当たっては、医学上の判断を前提にすることが相応しいと考えられます。
しかし補助は、判断能力をある程度有しており、任意後見も、補助と同程度の判断能力を有する者を対象としています。
すなわち、本人があらかじめ締結した任意契約に従がい、その効力の発生に伴い、本人を保護するものであります。
また補助及び任意後見による保護を始めるには、「本人の申立て」や「同意」が必要であることから、後見や保佐に比べれば、当然ながら、その範囲は狭められています。
補助及び任意後見は、あくまでも当事者に利用しやすいものされています。
制度のよる保護を始めるに当たっては、必ず鑑定しなければならないとすることは、実状に沿わないことと考えられます。
そこで、補助及び任意後見では、鑑定を必ずしも必要とはせず、医師の「診断書」で足りるとしているわけです。
その場合には、申立て人などの関係者が、本人の精神状態などについて、医師が作成の診断書をもって、家庭裁判所に提出することになります。
なお、補助や任意後見の場合についても、判断能力の判定が特に困難の事案などでは、その必要性から、鑑定が行われるケースも出てまいります。
行政書士 平 野 達