Q 任意後見制度について、教えて下さい。


A 将来、本人の判断能力が不十分となった時に備えて、本人を支援する人、支援して欲しい内容とを、予め契約で定めておく制度を、「任意後見制度」と云います。


 すなわち、認知症などで判断能力が不十分になった時に、本人の希望する生活を実現するために、「財産管理」や「身上監護」について支援してもらう人を、予め自分で選び、契約を結んでおく制度ことを云います。


本人を支援する人を、「任意後見人」と云い、この結ぶ契約を「任意後見契約」と云います。

「任意後見契約」は、公証人役場で公証人が作成する「公正証書」で行います。

任意後見人が、後見人としての活動を始めるのは、本人の判断能力が不十分になり、家庭裁判所が「任意後見監督人」を選任してからです。


また、任意後見契約の効力が生じる前から、何らかの支援を受けたい場合に、任意後見契約と併せて、財産管理などについて代理契約をしておくこともできます。

すなわち、同時に「委任契約」を結んでおき、本人の判断能力が不十分になった時点で、任意後見契約の効力に「移行」させます。


財産管理などの具体例としては、土地・建物の不動産、預貯金、年金等の管理、税金や公共料金の支払いなどが挙げられます。


以上のように、任意後見契約は、本人が、将来どのように暮らしたいかを自分で考え、任意後見人を引受けてくれる人を選び、任意後見人と話し合い、どんなことを依頼するかを決めます。

そして任意後見人と一緒に公証人役場へ行き、任意後見契約を結ぶわけです。


なお、判断能力が不十分な状態になったとき、「本人」・「配偶者」・「4親等内の親族」、又は「任意後見受任者」が、家庭裁判所に「任意後見監督人」選任の申立てをすることになります。


   行政書士  平 野