Q 被後見人の財産から支出できるものは、どのようなものがありますか


A 被後見人自身の生活費のほか、債務の弁済金、後見人がその職務を遂行するために必要な経費など上げられます。


 被後見人の生活費としての自身の食費、日用品の購入、被服費のほか、施設入所費、医療費など、被後見人の財産から支出します。

ただし、後見人としては、財産の総額、今後の収入見込み、支出の必要性などを細かに検討し、その支出が相当かどうかを判断しなければなりません。


 また、被後見人が第三者に対して債務を負っている場合は、当然財産から弁済することになります。ただ被後見人が本当に債務を負っているかどうかの判断に苦慮する場合は、家庭裁判所に相談して指示を仰いでは如何でしょうか。


 後見人がその職務を遂行するために必要な経費は、もちろん後見人の財産から支出しても構いません。

例えば、後見人が被後見人との面会や金融機関に行くための交通費、収支の記録をするための文具費などです。


その他、身内や親しい友人の慶弔の香典や祝儀なども、被後見人の財産の中から出されます。

官公署などへの手続費用、士業関係者への報酬費等もあります。


被後見人のために自動車を購入するとか、自宅を修理・改築するとか、多額の支出が見込まれる場合や、支出の必要性に疑問を生じかねない場合には、家庭裁判所に相談する要があります。


 なお、本人の財産を、その配偶者や子、孫などに贈与したり、貸し付けることは、原則として認められません。

相続税対策を目的とした贈与等も、同様と解されます。

本人の財産を減らすことになり、将来的に、他の親族との間で、紛争の種となりましょう。

後見人としては、常に長期的な展望から、それら支出が相当かどうかを、しっかりと見極める必要がありましょう。


     行政書士 平 野 達 夫