家庭裁判所あて提出する、後見人等選任のための「家事審判申立書」には、種々の記載事項があります。

その記載事項の一つに、「後見人等の候補者氏名記載欄」があります。

審判の申立するにあたり、「あなたの方で適当な人がいる場合は、予めその氏名記載を願いたい」とのことです。

 弁識能力を欠くに至った方を保護するために、新たに後見人等の選任を申し立てる場合はもとより、後見人等の辞任や死亡事実の発生により、代わるべき後任者選任にあたり、出てくる問題であります。

今現に私が、直面していることです。

 この度、特養ホームの相談員の方が言われるように、条件の良い恵まれた施設で相応しい看護を享受できるホームの入所は、容易でないことも理解いたします。

かなりの本人負担は予測はしていたものの、相談員の方が言われた入用金額には、正直驚きました。年金支給が月に20万円ある方が、ホームに同額払ってしまえば、あとはゼロです。

 本人の下着類などの日用品や、その他必要物の購入などは、どうするのでしょうか。

一人生活のため、地方税や介護料・国民健康保険料の負担額も高くかかってまいります。

加えて障害高齢者であれば、病院診療も考えなければなりません。

当然ながら、いざという時の蓄えも必要です。

 先日、亡くなられた補助人の娘さんから引継がれた関係書類から、一通の銀行の「普通預金通帳」がありました。

通帳上の残金額が、多額かどうかは一概には言えませんが、今後の本人の特養ホームでの生活状況から見て、先への不安は隠し切れないものがあります。

彼には、この通帳の他に何一つ財産といわれるものはありません。

残金額の取り崩しが進めば、容易に近時に収支破綻をきたすことでしょう。

どうしよう・・・・・・。

今、後見補助人候補者として推薦したい方が一人いますが、受けてくれるだろうか。

断られるかも知れない・・・・・。

困ったなぁ~。

いっそのこと、後見人選任を全て家庭裁判所にお任せしようか、悩んでしまいます。

 金額で負担の低い他の施設への転送も考えますが、施設内の生活状況や条件は、不利になります。

本人は、これで納得するであろうか。

やはり考えてしまいます。

 そこで私は、一つの解決に向けて、区の保健福祉の方へ相談の機会を得ました。

忌たんなく実状を話ましたところ、「今特養ホームに入れなくて困っている方が、何百人も控えて待っています。大変恵まれた状況で特養にいながら、他のホームへの転送を希望する方は、余り見かけませんね。耳にしません。どうですか。」

「特養は、確かに高いものもありますが、次のホーム施設を探すことは、至難の技といえましょう。」

「それよりも施設への支払以外の支出に就いて、チェック点検してみてはいかがでしょうか。何か判明するものが出てくるかも知れません。」

「とにかくやってみてみましょう。それでも難しければ、その時は、私にご相談下さい。私ども一緒に考えます。」

「ご本人の健康状況を考え、財力にあった分相応の施設を探しましょう。」とまで、保健福祉の方は言っておられました。

「先生が、一人悩んでいても致し方ありません。どうですか、候補者の方、若しくはあなたご自身が補助人としての家事審判申立を、一刻も早くされては如何でしょうか。」

 以上の如く、区の保健福祉の方の親切な言葉の支えを得て、早速私は、東京家庭裁判所に特養ホームの生活状況を説明いたしました。

後見への道を、一日も早く開きたいと思っております。

 とにかく、何とかしなければなりませんね。・・・・・・