世田谷区内の特養ホームに入所している、障害高齢者の後見補助人をされていた友人が、過日亡くなられました。
彼女は、その被補助人の配偶者でも、４親等内の親族でもありません。
妻と離婚して子供達にも見捨てられ、脳梗塞で一人ホームにいる彼を見かねて、自ら家庭裁判所に審判のを申立をし、後見補助人に選任されたのです。
本人に係わる日々の財務関係の管理はもとより、生活・医療看護や種々のケアに献身的につとめられたと聞きます。
このきわ、彼女を知る私とても放ってはおけず、現在家庭裁判所への審判申立書作成など諸手続に奔走しているところです。
先ずは、後任の補助人候補者を見つけることが先決でありましょう。
これが又、至難の技なんです。
家庭裁判所に全てを任せることも出来ますが、亡くなった前任者のご苦労の経緯やご意思も尊重したいとの思いも確かにあります。
一日も早く、相応しい後継者が決まることが望まれます。
先日、私は被補助人の入所する特養ホームを初めて訪れました。
駅から程近く、閑静な住宅街の一角ににその施設はあります。
木々の緑にも恵まれ、施設も新しく綺麗で、少なからず驚きです。
担当のケア相談員の方に案内されて、本人の在室する部屋に案内されました。
正直、入室するまでは、私もその生活状況がいか様なものか案じていました。
部屋のドアを開けて、フロアの椅子に掛けてテレビに見入る彼の姿が目に入ります。
彼は、私達の方に顔を向け、人懐っかしそうに、ニコッと微笑みます。
私と彼は、手を握り合います・・・・。
互いに、言葉にもならない声を発します。
「元気ですか、元気ですよ、いやぁ～！・・・・・」
とても、顔の色つやがいいんです。
昔の彼を知る私も、感激してしまいます。
そして、私に安堵の気持さえ走ります。
部屋の床は、フローリングが施されていて、結構広く見えます。
部屋の隅にベットがあって、小さなタンスとテレビが一台あるだけで、閑静に整って綺麗です。
こんな素晴らしいお部屋を一人あてがえられ、整った施設の中での十分な看護の恩恵に浴するなんて、そうそうにはないかも知れませんね。
彼は、幸せですね。そう見えます。
数年前に脳梗塞で倒れ、右半身に障害を遺し、両足、右手がご不自由です。
言語力も不十分なものがあって、時には筆談で意思の伝達をするそうです。
しかし彼は、今の生活を精一杯エンジョイし、生きているのではないでしょうか。
多くの方々の支援の中で、人間個人の尊重と尊厳のもと、安らかな生活が保たれているものと察します。
前任の補助人の方のご労苦がしのばれます。
面談を終えて、施設の事務所でケア相談員の方から、日々の生活・介護などにつき、詳しく説明を受けます。
「お世話になります。」と、私は言います。
「新たな後見補助人候補者は、決まりましたか。」
「まだ決まってないいんです。なかなか、難しいいですね。・・・・・」
「ところでこちら施設への支払は、いか程になりますか。」と、私は尋ねます。
「はい、ご本人の支払分は、施設費として月およそ２０万円程です。」
「他に、下着類やオムツ代、日用品の購入費などがかかります。本人から、何か買いたい物の申し出もあります。」
「時には本人のご容態から、病院の診察を受けて、医療費関係の支払も生じます。歯医者の治療もあります。」
「それらがプラスされた金額が必要です。」
「そうですか。ところで本人の収入は、いか程あるんですか・・・・・・」と私は尋ねます。
「そうですね、厚生年金だけと聞いております。ふたつきで、４０万円程です。私にも良くは分りませんが、本人は他に預貯金とか、財産はあるんでしょうか・・・・・・。」
「いやぁ～、私には・・・・・」