本人が一人で日常生活を送ることが出来ない、財産の管理が出来ないなど、判断能力が全くない状況にある場合に、家庭裁判所は後見開始の審判とともに「成年後見人」を選任します。

審判が確定した本人を、「成年被後見人」と言います。

また事案によっては、その後見人の職務を監督する「後見監督人」を併せて選任することもあります。

 成年後見人は、本人の財産管理を行うとともに、本人に代わって、本人のために契約等を行う「代理権」、日用品の購入など日常生活に関する行為を除いて、本人が行った不利益な法律行為を取り消すところの、「取消権」を行使することが出来ます。

 後見人の職務上の義務として

  ① 本人を法律的に保護すること

  ② 本人の生活、療養看護(福祉、介護、医療)についての配慮 

  ③ 本人の意思を尊重すること 

  ④ 善意管理注意義務 

があげられます。

 後見開始の審判の申し立てができる者は、先ずは「本人、配偶者、4親等の親族など」です。

本人に申し立てをする親族がいない場合、或いは、いても音信不通などから、審判の申立が期待出来ないなどの事情により、本人の保護を図るために、市区町村長が申立をすることが出来ます。

また申立は、本人の住所地を管轄する家庭裁判所へ提出します。

 申立手続に必要な書類として

  ・ 申立書

  ・ 申立事情説明書

  ・ 財産目録及び資料

  ・ 収支状況報告書及び資料

  ・ 本人の戸籍謄本

  ・ 本人の住民票

  ・ 診断書

  ・ 後見人候補者事情説明書

  ・ 後見人候補者及び申立人の戸籍謄本

  ・ 同住民票

などが上げられます。

尚、それら申立書等は各家庭裁判所に備えられております。

 申立により、家庭裁判所は申立書等を審理し、添付書類等が整っているかどうかを検討し、およそ1ヶ月から3ヶ月程度で審判が出るようです。

審判により選任された後見人が、審判書受領してから2週間後に、審判が確定します。

本人及び後見人にその審判結果が通知されて、いよいよ後見が開始されます。

最後に、審判の内容事項が家庭裁判所の嘱託に基づき、法務局に「後見登記」されることになります。