寒い朝の出勤時でした。丁度交差点のところで、私は信号待ちで、何人かの通勤者らと立ち止まっていました。
すると一匹の犬が、私達の周りを行ったり来たりせわいくします。
車道上に出ようともしますが、車が通過するのを見て、後ろに戻ったり出たりもします。
「あっ、危ない・・・・」私は、一瞬声を発します。
首輪は付いていますが、手綱がありません。全体が白色の毛でところどころが灰色です。
頭は細長でキリリとしまり、いかにも賢そうなやや大柄の外国犬の様にも見えます。
飼主と離れて迷子になったものか。飼主はどうしたのかなあ、早く見つけて・・・・・。
その犬君に「どうしたの・・・・」と話かけて、聞くことも出来ません。
若しかしたら事情があって、捨てられたものかともいろいろ考えます。
以前、孫のK君の絵本を読んだことがあります。題名は忘れましたが---小さな犬のポチ君が飼主の転勤引越しのため捨てられて、そのポチ君がはるか遠くまで飼主のご主人を探し迷い、そして傷つき、何日もかけてやっとの思いで、飼主のところに戻ることが出来た---というお話です。
とても可愛そうで、胸詰まるものがありました。
そうです。今私の傍に見る犬の飼主の方、そんなことしませんね。
交差点の信号が青に変わり、歩行者が横断歩道を一斉に渡ります。その犬もつられて渡ります。
でも落ち着かない様子であちらこちら見渡します。
そして向かい側に渡り切り、歩道上を更に小走りに進みます。
時折、脇を行く歩行者を見ては「自分の主人ではないか」と何度も振り返る様子は、私も見ていて正直やりきれない思いになりました。
折角、飼っていた犬君をどんな理由や事情があるにせよ、捨ててはいけません。
私ども人間が動物達にやるべきことではありません。責任があります。
犬君は更に進み、見えなくなってしまいました。気がかりで、心配です・・・・・・・・・。
「犬君、ご主人が早く見つかるといいですね。そして飼主のご主人と仲良く暮らして下さい。」