帰化申請の近年の動向としては、やはり中国の方の申請が増加しております。
昭和27年のサンフランシスコ平和条約の発効により、朝鮮や台湾戸籍で日本人であった人が、本人の意思とは関係なく外国人となってしまいました。それらの中には、日本の国家公務員の方もおりました。国家公務員は日本の国籍を有していなければならないので、それがため多くの朝鮮・台湾戸籍だった方が、当時日本に帰化したと言われています。
また天安門事件前後に来日した多くの中国の留学生や就学生が、その後日本の企業などに就職し、そして居住5年以上という帰化要件を具備し、帰化申請する方が増えました。更に在日二世の若い世代の中にも、日本企業への就職を少しでも有利に運びたいとの希望からの帰化申請もあるようです。
ところで帰化申請は、要件の確認から始まります。その基本は、「素行が善良」であることです。即ち「帰化を希望するあなたは、日本国家・社会に迷惑をかけずに生活を営んでいますか」 この質問に、胸を張って「はい」と答えられるか否かです。自分が帰化の要件を満たしていることを記した各種書類を法務局に提出することが、即ち帰化申請です。
ここで帰化の基本である「普通帰化」について、述べてまいります。住居要件として、引き続き5年以上日本に住所を有することです。例えば3年間日本に住み、そして1年間外国生活をし、その後再び日本に2年間住んでいるというケースは、要件に該当しません。この5年の基準は、日本社会の定着です。また住所とは民法で云う生活の本拠で、単なる居所は該当しません。能力要件は、20歳以上です。
素行要件ですが、素行が真面目であることです。きちんと税金を納めていること、前科がないこと、あっても刑を終え相当の年月の経過が必要で、交通事故もなく違反歴もないことが望ましいです。
生活要件としては、自己または生活を一にする配偶者その他の親族の資産または技能によって生計を営むことです。では「どのくらいの財力があればいいの」と心配されます。お金が沢山あることにこしたことはありませんが、普通に人並みに食べていければ良いでしょう。土地・建物などの不動産、預貯金、技能や資格などがあれば、なお結構でしょう。
喪失事項としては、日本国に帰化したとき、元の国籍を喪失または離脱できることです。他国の国籍を取得した時点で自国の国籍を失う国は、まず日本と韓国が上げられます。思想関係としては、日本国を破壊するような思想の持ち主は、もちろんお断りです。
そして日本語の読み書きが出来ることです。求められる日本語の能力は、およそ「小学校3年生程度の読み書き」と云えます。帰化したいために、日本語の習得に励む方もおられます。基本的な日本語の力は、どうしても必要となります。