夜。
交差点の手前で何やら白い自動車がドアを開けたまま止まっている。
「んだよ~。」
すると、木刀を持ったまさにヤ●ザ君が出てきて、俺の斜め前の車の運転席側のドアを開け、めっためたに殴り始めた。
どうやら無理に割り込もうとしたヤ●ザ君ともめているみたいだった。
運転手は必死に蹴り払いドアを閉め、その場を去った。
ヤ●ザ君はそりゃ不服そうに自分の車に戻り、ウィンカーも出さずに左折した。
もう本当にテンションが下がる出来事だった。
何があったか知らないが、いい歳した大人が木刀なんか持って暴力でしか相手に気持ちを伝えられない。
何て小せぇ男なんだ。
あまりにも怒りが増幅するので、ライブの準備のために車に入ってたブギーのアルバムを爆音で流した。
輝いて!!輝いて!!
漠然とした白き未来に突っ込む若き日の俺が歌っている。
暴力でしか気持ちが伝えられない人と歌でしか気持ちが伝えられない人の違いって何なんだ。
紙一重なのか。同等なのか。
とにかく気持ちが萎えた。
家に着いてドアを開けると、娘が大声で泣いている。
「と、と、とうちゃん・・・ち、ち、注射がんばったよ、よ~。」
インフルエンザの注射を打ったらしいのだった。
俺はこれでもかというくらいに抱きしめて言った。
「お前は良い子だぁぁぁ!!!!!!!!!!」