映画「永遠の0(ゼロ)」を観て | わたしの意見

映画「永遠の0(ゼロ)」を観て

映画「永遠の0」のプロモーション映像
ブログ用\永遠の011
私の実父が搭乗した陸軍四式重爆撃機「飛龍」(三菱重工製)  重爆撃機のくせに宙返りまでこなすなど運動性能に優れた機体で、そのため特攻に使われることになったようです
戦争\飛龍10改2
上の白黒写真の飛行機は、戦時中、私の実父が通信士として搭乗した陸軍四式重爆撃機「飛龍」です。 戦争も末期になり敗色が濃くなると、この爆撃機で米軍艦船への体当たり特攻を行なう計画が立てられました(搭乗員6名もが一度に犠牲になります)。
その神風特攻は、形式は「志願」、しかし事実上は「強制」で順番が回って来ました。 あとひと月も戦争が続いていたら、父にも順番が来るところだったそうです。

今ちょうど、零式艦上戦闘機(通称ゼロ戦)での神風特攻とその隊員を題材にした百田尚樹氏の小説「永遠の0(ゼロ)」と、それを映像化した同名映画が大きな話題になっています。
「神風特攻隊」は、
以前から小説や映画・テレビドラマなどで、むやみに美化され感傷的にお涙頂戴物語として描かれることが多いのが特徴です。 この「永遠の0」もその域を出るものでは全くありませんでした。
百田尚樹氏は、右寄りの安っぽい保守国粋思想を持つ単細胞的な人物で、安倍晋三首相とも「お友達」なので仕方ないことでしょう。 安倍首相はこの映画に「感動した」そうです。 (私は全く感動しませんでしたが。)

映画「永遠の0」を観ても、大東亜戦争(アジア・太平洋戦争)と神風特攻の動機、原因、理由、影響、結果といったものの本質や実態は全く分かりません。
お涙頂戴の戦争美談と割り切って陳腐なエンタメ映画として観る分には良いでしょう。
しかし、その戦争や特攻作戦そして特攻隊員の深い真相を知りたいという人には、有害無益で時間が無駄になるだけの愚劣な作品です。

特攻帰りとも言える父から聞いた話しを思い返すと、当時の実際の特攻隊員たちの
心情は、映画「永遠の0」のような生やさしいものではなかったようです。
帰還が許されない特攻を無理強いされる状況の中、隊員たちの心の奥底・本音は、そんなことで死ぬのはまっぴら御免だというのがけっこう多かったといいます。
何しろ米軍も強力な対抗策を講じているため、敵艦に体当たりする前にほとんど撃墜されてしまいます。 語弊はありますが「犬死に」にならざるを得なかったったのです。
敗戦直前の基地内は理性を失った状態で、特攻隊員の多くが、自暴自棄になり、いやいや出撃していった隊員も少なくなかったそうです。

敵艦にたどり着く前に撃墜される特攻機 ほとんどの特攻機がこれと同じ苛酷な運命に戦争\特攻116改

なお、百田尚樹氏については 2月18日の記事 「あの右翼作家 百田尚樹氏が涙した 大東亜戦争(アジア・太平洋戦争)賛美動画。その危うい歴史観」 もご覧ください。
また、特攻については 昨年10月14日の記事 「神風特攻隊」 も参照ください。

安倍晋三首相と「お友達」の百田尚樹氏(左) 首相からNHK経営委員に任命される
ブログ用\百田尚樹2

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