『皇室はなぜ尊いのか』(渡部昇一著)を読む | わたしの意見

『皇室はなぜ尊いのか』(渡部昇一著)を読む

改めて述べますが、私は皇室を尊敬する気持ちを全く持つことができません。

なぜかと問われても、尊敬すべき理由を見つけられないから、としか答えようがありません。


そこで、このヨクナイ根性を矯正できないかと、最近目を引いた 『皇室はなぜ尊いのか』(渡部昇一著)を読んでみました。

しかし、これが逆効果で、皇室が尊敬に値しないことが、より深く心に刻まれてしまいました。


著者の渡部昇一氏は、右派保守論客として著名な学者です。 かつては見るべき論考もあったのですが、最近は年齢のせいか、論理的な思考を欠いた情緒的な言説が目立ちます。


この本でも結局、同氏は、皇室が尊いことを公理のように捉え、その補足説明として、皇室が神話時代にも遡れる男系世襲で、現在まで途切れず連綿と存続してきたと言っているに過ぎません。

皇室は尊ぶべきものだという独断を書き連ねるのみで、肝心の 「なぜ尊いのか」 という証明はなされていないのです。


本の帯にある 「誰もが『ああっ』と驚く 著者初の本格的皇室論!」 は、明らかに誇大広告ですが、試しにみなさんも一度お読みになってください。(PHP研究所 2011. 9.12発行 1260円)


なおこの渡部昇一氏こそ、「菊の御紋」にすり寄り物を言う人物の代表格と言えます。 叙勲を狙っているのかも知れません。


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