昨日、私は地元府中市の中学生和太鼓コンクールの審査員長(気づいたらそういうことになっていた急にガーン)を務めさせていただきました。

このコンクールが始まった当時、お世話になっている土方さんに頼まれて何度かやらせていただいたのですが、どうにもこうにも審査をすることがしっくりこなくてお断りしていました。その当時は自分も教え子たちと共に審査される立場でしたから思うところがたくさんあったんですよね。

ただ、コロナ禍を経て私の教え子たち(打撃っ子)もだげきだんもコンクール系への参加をすることがなくなり、そういう場から離れてそうした(思うところ)も落ち着いたということや、少しでもお世話になった太鼓界への恩返しの気持ちも形にしたいという思いでここ数年やらせてもらっています。

土方さんは武蔵や太鼓店というお店を営みながら長きにわたりこの府中で小中学生のご指導をされ、その卒業生が活動できる鼓太郎という女子チームも作っておられます。

私自身は土方さんに太鼓活動を支えていただいております。その器材の大半は土方さんメイドです。

そんな土方さんに(敦子さんにやって欲しいんだ)と言われて断れません。






今回は、地元府中の太鼓打ちのみなさんと一緒に審査しました。

「皷魂」というチームの梶山さん、そしてプロ和太鼓奏者の諸住さんです。

諸住さんは、このコンクールの第一回に出場されたとか。武蔵国府太鼓響会出身〜都立深沢高校和太鼓部部長として全国大会にも出場!

懐かしいですね。私は深沢高校と明星学園、ご指導の先生方といい作品といい大好きでした。東京高校和太鼓界の王者でしたから、私自身は府中東として闘っていて悔しい思いも沢山したのですが、どこかこの王者である2校が勝ち上がって全国に行ってくれることが誇りでもありました。

私たちにはできない、全く別のものでしたから、そりゃ勝ち負けとなると(あー負けるのかー)となりましたが

王者は王者です。

その全盛期を牽引していた諸住さんですから、背筋の伸びた気持ちの良い青年です。

隙間時間に私たちの「花嵐」の大ファンだと教えてくれました。ご家族皆さんで好きでそれを聞きに来てくださったことも。嬉しいですね。

ご自分も作品作りをしている中で、花嵐をどうやって作ったのか?という質問を受けました。時間がなかったのでいつかゆっくりお話ししようねと約束しました。(そんなこと言ったけど、私に作曲のノウハウなんてあったのか?うーん説明できるのか?)


さて本題です。

昨年、(ねー土方さん、課題曲はさ〜武蔵国府太鼓にしてよ〜せっかく府中の子なんだからさー)とお願いしといたらアセアセまさかの多摩川流れ打ち…あせるいやマジで?

そーんな難しい曲やらせちゃう?なんならわたしのオハコだけど審査厳しくなるよ?なんてことで、聞けば3ヶ月くらいの取り組み期間らしく全く期待していませんでした。


そーーーしたら、中学生って凄いですね〜。

覚えてんのちゃんと。頭柔らかいし人生の中でもっとも記憶力の冴え渡る時期だもんね、課題曲ともなればやらねばならぬってことでスーッと入っていくんだね

ガーンガーンガーンガーンガーンガーンガーンガーンガーンガーンガーンガーンガーンガーンガーンガーン

すごっ!


まずそこに感心しちゃいました。


市内にあるチームでも、この曲を人前で演奏する機会はあまり無いものです。

屋外で演奏するとなると、静かなゆったりテンポのこの曲を演奏するや否や客は引きます真顔過去に何度も経験しましたからいつぞやは、すんごいでかい音でこれを演奏してみた事があり、(あー太鼓は大きな音出さないと人を魅了できないんかな?)なんて実験結果が出ましたが。←結論としてこれはそれだけではないです。念のため。


土方さんが、課題曲に選んだことは正解かなとすぐに思いました。

だってなかなかこの曲は進んで稽古しませんからね。

それでいて、極めるのがとても難しい。


まず暗譜、テンポの共有、場面ごとの情景の共有、表現に必要な技術の習得。

最低でもこの4つの要素が必須。

そこへ持ってきて、所作とチームワークが絡んでくるから、これなかなかにハードル高いわけです。


全部で9つのチームがありましたが、中学生でこの曲を情景の共有と表現のための技術がどこまでできたのか?現時点でそこだけを見ると、伸び代はすごくたくさんあったと感じます。

私自身この曲の情景はこうである!というものがありますが一度リセットして聞きました。

そして、演奏後の彼らに聞きました。(何を表現しましたか?)聞くと(川の流れのゆったりした感じを表現した。)急に聞かれて100%を答えられるはずもなく、ザックリと話してくれたんだと思いましたが、私は言いました。(多摩川の誕生のシーンから海へ流れていくときに、どこら辺が府中の多摩川?なんてことをみんなで話し合ってみてね)


コンクールが終わっても、さらに追求して進化した多摩川流れ打ちをまた聞かせてもらいたいと強く思いました。(また、みんなの演奏をこっそり見に行く)そんな約束もしました。


ここ何年か言い続けてきたことが、中学生に浸透していました。

つま先を上げる子がいなくなっていました。これは嬉しかったですね。

清潔感のある着こなし、髪型を徹底できているチームも増えてきました。

右手左手の音の差が無くなってきました。

とても嬉しいです。

何も私がアドバイスしたからこうなった!と言っているのではなく、みんな上手くなりたいんだな、太鼓好きなんだな。そこです。


最後の審査員講評でお伝えしたことは


優勝したチームの何が良かったのか。それは、ズバリこなれ感でした。所作、太鼓の扱い、演奏全てにこなれ感があったこと、これは今日すぐにその時だけできるものではない。常日頃からの積み重ね。いつも太鼓を大事に扱っているとか、いつも身なりをきちんとしているとか。

そしてチーム全体が一定の技量を持ち合わせていたこと、誰かだけすごくできるとかすごくできないとかではなく。きっとこれも日頃からできない人がいたら、こうするといいよ!反対にできない人が、それはどうやるの?というようにみんなで力をつけて行ったこと。見て取れました。

だって、どのチームも素敵なチーム名がつけられていてチームで作品を作っているのだから言ってしまえば

当たり前のことです。そのチームワークが際立っていました。

他のチームを全く否定しませんが、今後の活動にそう言った部分を取り入れて行ってくれたら嬉しいかなと思います。

そして、こうした中学生たちの素敵な活動は、指導に当たってくれる先生から技術アドバイスをいただけること、顧問の先生方が一生懸命に活動の場を作ってくださるということ、それ無くしては成立しないのだから感謝の気持ちを忘れないでほしいなということ。

そのことを伝えさせてもらいました。


和太鼓とは、音楽であり、スポーツでもある。表現の場であり、芸術的要素が高いけれど、表現に必要な身体能力や精神面の鍛錬も必要。そして学生においては取り分け、それを通じてチームとして人と関わり、自己を見つめることになっていくのだと思います。


結果発表の際に、心の奥底からの喜びが弾けたり、悔しくて我慢できない涙が止まらなかったり…

このコンクールでそんなシーンが見られるようになったら嬉しいかなと思いました。


中学生の皆んなの演奏は、目を離さずに全部見てきましたが、もっともっとできるよ!って思いましたね。

3人の審査員が一致する個人賞はいませんでしたから該当者なしでした。

私に言わせればチームプレイだからそれは不要かなとも思っていますがどうでしょうかね?

それでも、おっ!と思う子はいたので、名前に丸をつけてきましたよ。伝わったかしら?


直接の指導は、私の目の前にいる打撃っ子にしかしませんが、間接的にではありますが太鼓を通じて出会った皆さんに私なりの想いが何かのお役に立てられればと、思っています。

きっと梶山さん、諸住さんも同じお気持ちだったと思います。


土方さんから、また来年もお願いLINEきました。

はい。やります。


土方さん、それにしても長きにわたり本当に素晴らしいです!これからも小中学生をよろしくお願いします。