死にたいと思ってもいい。
そこは"命の聖域"なんだよ。
***
死にたいと願うあなたへ。
死にたい。
死んでしまいたい。
一日も早くこの世から消え去りたい。
私のような人間は生きているべきではない。いっそ殺してほしい。
劣等遺伝子を持った私は人類の負の遺産だから、一刻も早く滅びるべきだ。
なんで生まれてきてしまったんだろう。
死ねば、きっと楽になるのに。
一秒でも早くこの苦しみから逃れたい。
この地球上に存在していたくない。
もう、疲れた。
死にたい、死にたい、死にたい。
そう思ってるあなたへ。
今まで、その気持ちを打ち明けたことがある?
なかなか相談できない人が圧倒的なんじゃないかなと思う。
悲しいけどこの世には、死にたいと思う人に対して心ない言葉がはびこっている。
ある人は第一声、ストレートにこう返すかもしれない。
死ぬな、死なないで。と。
またある人は、あわてふためき、
早まるんじゃない。命は大切だ。あなたは、かけがえのない存在なんだよ。
とかね。
またある人は、
君が今生きている今日は、昨日死んだ人が生きたかった明日なんだよ。
人生相談のテンプレートみたいな言葉を返す。
またある人は、
大丈夫!いつか生きてて良かったと思える日がくるから。あなたの人生は、絶対うまくいく!
と、無理やりポジティブにもっていこうとする。
またある人は、よかれと思ってこんな名言を教えてくれるかもしれない。
*蒔いた種は自分で刈り取らなければならないんだよ。
原因と結果の法則って知ってる?
*辛いかもしれないけど、あなたは自分でこの状況を引き寄せたの。全部自分で選んで生まれてきたんだよ。
*神様は乗り越えられない試練は与えないんだよ。今の苦しみが糧となって、感謝できる日がくるよ。
てなかんじに。そんなんで救われたら、こんなに苦しんでない。
またある人は、
わかる。わかるよ。私(俺)も昔はね…(以下略)
と、自分語りをしだすかもしれない。
またある人は、
そう思うのは、心が弱いからだ。
良い年して、いつまでも甘えるんじゃない。
と、いとも簡単に残酷な言葉のナイフをなげつけ、私達の尊厳をかっさらっていく。
またある人は、なんと声をかけて良いかわからず、困ってしまうかもしれない。
またある人は、
本当に死にたい人は、死にたいなんて言わないんじゃない?考えすぎだよ。
とか、
死にたいっていうのは、本当は生きたいってことなんだよ。辛いだろうけど、辛いのはおまえだけじゃない。
と、もっともらしい正論をぬけぬけと言ってのける。
もしかしたら、初めて心を打ち明けて、一世一代の大告白とも考えずに。
またある人は、
辛かったね。よく今まで頑張って生きてきましたね。
と、あなたの感情に寄り添ってくれるかもしらない。
…
うん、なるほど。
どれも間違ってないと思う。
事実、ある時には、その言葉で救われることもある。
どれが良いとか悪いとかじゃない。
今回書くことは、世間の逆を行くかもしれない。
でも、伝えたい。
さっきまでのような言葉の数々に、私はちょっと待てと言いたいんだ。
あ、猫被った。
本当は、
うん、ほんとはね。
ふざけるな!と、言いたい。
わかってない。全然わかってない。
あなたに何がわかる?とできるなら、張り飛ばしてやりたい。
あなたは、上記の水色の部分のような言葉をかけられたら、どう思うだろう。
一番最後の、「辛かったですね。」系の言葉もかなり感情に寄り添ってるように聞こえるけど、どうも人ごと感が漂うように思う。
私だったら、私の何が辛いか知ってんの?わかったようなこと言わないで、とか、お決まりのセリフ言ってんじゃねー、ってひねくれた考えをしてしまうんだ。
どうしてか?
私はもっと別の言葉をかける。
死にたいと言われたら、こう返す。
「うん、それが、あなたの望み?」
あなたはなん答えるかな。
私があなたに第一に伝えたいとは
「死にたいって思っていいんだよ。」ということ。
だってそれが、あなたの望みなんでしょ?
何を望んだっていいんだよ。
だってそれがあなたの心からの、願いなんでしょ?
耳をかっぽじって、もう一度聞いてほしい。
あなたの「死にたい」は、そんな生半可なものなの?
違うよね?
死にたいっていう思いだけは、いままで自分を抑え殺してきたにもかかわらず、抑えることができないんじゃないかな。
どんだけ他の感情を殺せても、その願いだけは殺せないし、他のどの願いを差し置いても、この願いだけは捨てれないんじゃないかな。
あのね、
死にたいという思いを否定して、自分に嘘をついても、その思いだけは嘘をつけないようになってると思うんだ。
だからこそ、自分にウソをつけばつくほど、さらに死にたいという思いは強まっていくんじゃないかなって。
これまで、数え切れないほど傷ついてきた貴方は、いったい、どれほど心が砕け散ってきたことだろう。
でも、もう、大丈夫。
死にたいという思いだけは、絶対に砕けないから。
誰にも壊すことも、否定することも、なかったことにも、できないから。
過去に、あなたをどれだけ裏切り、否定した人間も、その思いだけは、この世の誰も侵すことができない。
むしろ、他人に否定されればされるほど、死にたいという思いは強まる。
つまり…
えっと、いまから、ブッ飛んだことを言うね。
頭がイカれてるとののしられてもいい。
でも、そのかわり、
「本当に、死にたくて死にたくて、もう死ぬことしか考えられないけど、でも死ねない人」に聞いてほしい。
あのね、
「死にたいという思いはこの世の誰も侵すことができない」
ということは、
あなたは、死にたいという希望を持つことで、
「すごく神聖で、不可侵な領域」
に、足を踏み入れているんだよ。
今あなたは、鉄壁の防御力を持っているんだ。
私は、そこは「命の聖域」って思ってる。
一見、死にたいという思いは、自己否定を重ねた自己否定で、この世の、いやこの宇宙の最大の罪なんじゃないかなと思う。
でも、裏を返せば、あなたは、誰も好き好んで受けて立たないこと(罪)を、受けて立ってるんだ。
たとえるなら、この世の多くの人が放棄せずにはいられない重荷を、あなたはずっと背負って生きている。
今もずっと、懸命に背負ってる。
ただ、好きで背負ってるわけじゃないよね。
早くその重荷から逃れたくて、楽になりたいという思いが、益々積もっていくばかりなんじゃないかな。
早く逃げたいのに、早く楽になりたいのに、でもできなくて、それで苦しんでるんじゃないかな。
でも、それはさっきも言ったように、この聖域にはだれもが足を踏み入れることができるわけではない。
この場所に足を踏み入れるには、とてつもない苦しみを引き換えとする。
入った瞬間、逃げ出さずにはいられない。
なのに、あなたは今、この瞬間もその重荷と戦ってるんだよ。
それって、すごいことなんだよ。
本当にすごいことなんだ。
本当に、すごいんだよ。
まだしっくりきてない、そんなあなたに、またまた質問。
あたなには、これだけは譲れないものってある?
これだけは胸を張って貫ける、ことある?
何が好きで、何が嫌いか。
何がしたくて、何がしたくないか。
どんな人だったら尊敬できて、どんな人を許せないか。
そんなこと、もうどうでもよくなってないかな。
もしかしたら、自分の意見、気持ちや本音がわからなくなってないかな。
私は、そんなもの何にもなかった。早く死ねればそれで良かった。
やりたいことをやっていいんだよって言われても、何がやりたいのかわからなかった。
自分の意見を言わずに、他人に合わせたら、嫌われずにすむかなって思ってた。無理やり合わせてると、他人の意見と違う時に苦しくなるから、感じること、考えることをやめるようになった。
そしたら、だんだん自分の意見がわからなくなって、嫌いなものがなくなった。しまいにはやりたいことも持てなくなって、自分らしさを失った。
そして、自分の意見や本当の望みをしっかり持つことができりようになるまで、随分かかったんだ。
だからこそ、自分の意見・感情・気持ち・願いは、当たり前にわかることじゃないと、知った。
だからね。
私はこう思ってるんだ。
さっきよりブッっ飛んだこと、言うね。
ほんとに大丈夫?
あのね、
もし、
もしもあなたが、
他の何を引き換えにしても
今、心の底から、
「死にたい」と願っているなら…
私はあなたのその「死にたい」という心の叫びを、
尊いと思う。
本当だよ。
すごく、すごく尊い。
だって、
これまでの人生を振り返ってみて、
今の死にたい気持ちよりも切実に、
◯◯したい、◯◯したくてしょうがないと、強く思ったことある?
これほどまでに、強い衝動にかられたことある?
寝ても覚めても、年中無休で24時間営業中ってくらいに、気が着いたら◯◯のことばかり考えてるってこと、ある?
これほどまでに、忘れたいのに忘れられないってこと、ある?
(もしかしたら、人によっては自傷やアルコール、失恋、過食、その他の欲求の方が強いかもしれないけれど、それはまたの機会に)
なぜこんなことをきいたのかというと、
「○○したい」っていうエネルギーって、ハンパない。
中でも、たとえば「自分の命と引き換えにしてもわが子を守りたい」って思う母親がいるように、
自分の命と引き換えにしたいほどの、○○したいという思いは、最上級にすばらしいと思う。
それほど、強い決意と覚悟を要する。
だから、その最上級に素晴らしい「○○したい」は、「守りたい」であっても、それがたとえ「死にたい」であっても、優劣の差なんてあるわけがない。
だから私は、
あなたの「死にたい」という心からの「○○したい」という気持ちを、尊いと思う。
自分に自信を持てなくていい。
これまでの、そして、これからの人生にYESと言えなくてもいい。
自分にイエスと言えなくてもいい。
でも、せめて、その「死にたい」という自分の気持ちに、
堂々と、YESといって欲しいんだ。
だって、それが
「あなたの望み」なんでしょ?