エマ・ゴールドマン『エマ・ゴールドマン自伝 上・下』 | ユータのブログ〜ほんたうの自由をもとめて
エマ・ゴールドマン『エマ・ゴールドマン自伝 上・下』(ぱる出版)

その人生の多くをアメリカで過ごした、女性アナーキストのエマ・ゴールドマンの自伝。四六判上・下巻で1400ページにおよぶ大部の伝記をこの10日ほど楽しんで読んでいた。

常に労働者や虐げられた人々と共に闘ったエマの行動、考え、生き様は、人間として見事と言うほかない。

1400ページもあるので、様々なことが詰め込まれている。

たとえば、アメリカからロシアに国外退去になったとき、エマはクロンシュタットで、臨時政府により、反革命の名の下に、1万人の人々が虐殺された事件に遭遇した。このような経験により、エマは民衆による革命(十月革命)が、国家に簒奪されたことに目を見開かされる。なので、革命を行うことと、国家社会主義国を作ることはまったく別のことであることがはっきりとわかる。

本書を読んで、自分が、過去のアナーキストが日々何を考え、どのように生きたのか、ということにいま一番興味があることがわかった。それは同時に、自分がどのように生きたらよいのかを考えたいということでもある。

引用します。
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アナキズムは教義も威嚇もなく、あるいは処罰もなく、さらに貧困という抑圧もない組織化の可能性を主張する。つまり新しい社会組織は生存の手段としての闘争に終止符を打つだろうーー野蛮な闘争は人間の尊い品性を傷つけ、社会の混沌を永遠に広げていく。要するにアナキズムは万人が幸福であることを目指して、社会組織化の方向に向けて闘っているのだ。
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政治における自由とは何か、国家とは何かということに興味のある全ての人に、どうしでも読んで欲しい名著。このような本が日本語でさくさく読めることの行幸に浸っていた10日間でした。