さて今回は兵庫のギターショップTUNEさんにギターを預けた感想やそれまでの経緯を書いてみます。
※TUNEさんのご担当者の方からはツイートやブログ記事にする事についてはむしろどんどんやってくれと許可を頂いています。
※プロモーション記事ではないので忖度は全くもって無しです。
TUNEさん。
ギターショップと書くべきか、リペアショップと書くべきか、はたまたギターメーカー、ギター工房、この中のどれで呼称すれば正しいのか悩みました。陰陽座のベーシストの方のベースなんかも製作されている国内のギター工房さんなんですけど、
多分、一番正しいのはTUNEさんのリペア部門と表記するのが正しい様な気がしています。
さあ、少し前置きが長くなりましたので本題へ。
ギターのメンテナンス。
外出もなかなか思う様にできない昨今ご自分でやってしまう方も多いのでは?と思います。
私は少し磨いたり余りにもやばい時に少しだけトラスロッドを回す程度のメンテナンスしかやらない事にしています。オクターブ調整程度は我慢できなくなると自分でやる事もありますが、最近はいじるほど狂わないので何年もやってませんね。
自分でやってしまう派の人には文句言われそうですが、基本的にセットアップはお金をかけてでもプロに任せた方が最終的にかかる時間や労力が小さくて済むと思っています。
特に、僕の様な小さな子供もいて時間をかけてじっくりと集中してやるタイミングがなかなか取れない人種はね。
家にまともな机が無いのもポイントです。胡座だと足痺れるしさ。
まあ、調整するのが趣味という方もいらっしゃるでしょうし、人に任せるのなんて話にならないと怒る方もいるでしょう。
実際、僕の周りにも結構そういった方が多いのが正直なところです。なんで自分でやらないの?と。
ちなみに、僕、仕事柄変にいじくり回すくらいならその前に修理に出してくれっていう様な商品を取り扱う仕事をしているんです。
結局、素人の僕があれやこれやといじってみたところで遠回りしてたり、返って調子悪くなったりしてなんて経験がギターでも本職でもかなりあります。(本職の方はいじっちゃったのを直す方ですが笑)
いやそこバラす前に修理に出せよ!基準を0から作り直すのどれだけ大変だと思ってるんだよ!とユーザーに何回言いたくなったことか笑
調整なめてると痛い目見るのはどの機械や仕事にも通じてくるのではないでしょうかね。
どうでもいいんですけど、いじったらならいじったって言ってもらわないと結局手間が増えます。
中身開かないと分からないとこいじっといて知らんぷりして修理出されるのはめちゃくちゃ困りますねぇ。
ここまでやって、よし!試運転だぜ、んん!?みたいな苦笑
いじった場所は見れば大体わかりますし、開けていじってあるからさらに工賃割増とかはしないんですけどねぇ、、、笑
脱線しましたが、というわけで、基本のセットアップは自分のクセを分かってくれる馴染みのリペアショップに出す様にしています。
僕としてはギターのセットアップは非常にシビアな世界だと考えていますので、素人がいじって良い領域ではないと受け止めている事、失敗しても構わないと思える程雑に扱うギターが手元に無い事、この2点を理由に基本はプロに任せているんですね。
さて、去年の秋口だったかな、いつものリペアショップに出す場合、私の地元のショップまでの移動時間、機嫌取りも含めた家族内の段取りの手間、預けている時間、滞在の時間制限に対するストレス等々諸々を考えるととても精神的にも時間的にも金銭面も含めてコストが高い様な感覚を持ったんです。
1人で行動させてもらえない事が多く、基本的に家族と地元に帰ることになるので、行くのはいいけど何時までに帰ってこいとかうるさいんですよね。
僕の場合は好きな事に使う時間を他の誰かに区切られるのってこの世で最も嫌いな事のひとつなので、それに対するイライラが半端じゃないんです。
想像してみてください。
馴染みのギターショップで大好きなギターや音楽の話をしながらリペアを待つ時間を削られるんですよ?きっついですよ〜。
半年に一回あるかないかの楽しみなのに。
そこで、これはどことは書きませんが特殊な工法でギターの健康診断を行い、フレットを研磨したり細かく調整していただけるというショップさんに一度メインのmajestyを預けてみたんです。
送って対応してもらえる所ならば、送る手間だけ大変ですが、あらゆるストレスから解放されるじゃん、と思ったからですね。
しかし、世の中そんなに甘くなかったんですね。
まずはギター全体の健康診断とその結果をもとに調整をお願いしました。
で、返送されてきたギターなんですが、ケースを開けたらフレットディフェンダーは外れたままだわ、変な粉は沢山ついてるわ、挙げ句の果てに調整が甘くてバズは酷いわと正直前よりよっぽど酷くなっていました。
なんなら、ステンレスフレットにも関わらず霞んで汚い上、ザリザリ引っかかる感触さえありました。
ほったらかしにしたノーマルフレットじゃないんだからさ。
1弦の16Fのデッドポイントが出す前よりさらに強くなってしまったのもあり、とりあえず同じ所に文句半分で相談メールを投げた所、返金するとのこと。
返答のメールも言葉こそ丁寧であろうとしていた様子でしたが、"うるせえな、言われた事はやっただろ、ガタガタ言うならいいよ金返すから"と言わんばかりで無理矢理返金で片付けようとしている様子で心底頭にきました。
返金する事で有耶無耶にしようとしているわけではないと繰り返し強調していたのが印象的でしたね。
一応、フレット研磨や調整を行なって弦とボディの鳴りが良くなると、デッドポイントでの共振も強くなってしまって場合によってはよりサステインが短くなってしまうという事もあるようですが。
それはそうと、変な調整が入ったおかげでストレスの強いコンディションになってしまったmajesty。
どこから手を入れていいのかも見当がつかないばかりか、素人目に見てもナットの切り直しが甘いのがわかったため、ここはやはりプロに任せようということになりました。
同じ様に特殊な工法を取り入れている工房さんで、良いとこないですか?と知り合いに聞いた所、TUNEさんに相談してみなと言われたので、電話をかけたところからがTUNEさんとのお付き合いの始まりでした。
まず、事情を説明した上で、ギターを送る段取りへ。
事情が事情だけに最初の簡易的な診断だけは急ぎでやっていただけた様で、すぐにご連絡をくださいました。
正直なところ、他所がやったそんな怪しいギターやらないよって言われるかもと思ってたんですが、とても穏やかに私で力になれるならやってみますよとご担当の方が言ってくださってとっても心強かったですね!
やっぱり、こういう業界ってプロかどうかで線を引く方も少なくない印象で、ある程度名の売れている人なら丁寧に頑張るけど、アマチュアには冷たいというケースも珍しくないんですよね。。。
そして、
まず、調整されたとは思えない様なバズが出ている事、フレットの仕上げやナットの処理が甘い事、この個体の良さや重さを考慮したセットアップとしては甘い事、TUNEさん流のデッドポイントへのアプローチの方法など細かく分析した所見をメールでいただきました。
もうこの時点で感動です。
そして、私も目下50万のギターの命がかかってるので何度かやり取りの中で細かい質問をしたんですが、全て丁寧に答えてくださってそういった意味でも大変手厚く取り扱っていただいて心強かったですね。
最終的に、私のギターはアームユニットのバネの掛け方、サドルの高さ調節のイモネジの交換、重さの調節も含めた各種フルセットアップを経て1ヶ月半〜2ヶ月程で戻ってきました。
ケースを開けてびっくりです。
新品だろうか?と思う程綺麗に磨かれ、フレット達も変なくすみが無くなっていました。
弾き心地もバッチリです。
指に吸い付く様な感覚、ロングスケールだと忘れてしまうほどの弾きやすさです。
重りを仕込んでデッドポイントを少しずらした事で、16Fのサステインもいくらか復活し完全に文句無しの状態でした。
何より驚いたのが本当にコードトーンが綺麗になってアルペジオなんかはピーターソンのチューナー使った?と思うレベルで綺麗に聴こえたのがびっくりしたポイントですね。
もともと、その特殊な機械を使った工法はそのネックに対して理論上最も良い状態にフレットを擦り合わせるというものなんですが、ピッチ感もバッチリな上めちゃくちゃ弾きやすくなってるばかりか、和音も綺麗に鳴るなんてこんな事がありえるのか!と興奮しながらお礼の電話を入れた思い出です。(めんどくせえやつって言わないで!)
さて、そして、一年ほど調子良く使っていたんですが、今年の夏前あたりから今度は3弦のバズが強くなり、11Fの一音ベンドがなんか妙にしょぼいという症状が出ました。
ネックを少しいじってみたりしましたが、効果無しなので、一年振りに健康診断も兼ねて出す事になったのが今回です。
でもせっかく出すわけなので、このギターで気になっている電装系の相談をしたところOKですやってみましょう、と返事が。
具体的にはこのギターって中身にピエゾのプリアンプとか入ってるので結構配線が大変な事になっています。
それ故、メインのマグネットPUはコネクタを使った配線になっていたんです。
仕方ありませんよね。いくらハイエンドギターといえど、生産効率上げるためにはこういう所を端折るしかないと思います。
生産性向上という名目であれば合理的なので、アメリカ的で実に面白いなとも笑
本職での仕事柄、コネクタの配線にはたびたび苦しめられる事があり、音色はもちろん耐久性の観点からしても心配だからノーマル配線にしてもらえませんか?と相談したらOKです、と。
いや、正直意味がわからなかったですよ。PU交換した時もリペアショップの人にロウ付けとPUのマウントベース外して無理矢理配線してもらってなんとか取り付けたレベルなのに、そのコネクタを取っ払ってノーマル配線にするなんて一体どうやるんだろう?とさえ考えていました苦笑
で、配線ですが
びふぉー、あふたー
です。
配線の引き回しが綺麗になっているだけでなく、ところどころ太い配線に交換してある上、ノイズ処理までやってあります。
上のびふぉーの配線はもう見るだけで胸焼けしそうですよね笑
私がリペアマンなら"うわ、だっる"って言うと思います。
少なくともアップチャージはかけたくなりますね笑
事前の話だとここまでやる話じゃなかったんですけど、何も言わずにここまで綺麗に中を仕立て直してくださいました。
すごいですよね。本当に笑
割りに合わないっすよあんな金額じゃ。
さらに、3弦11Fのしょぼさにアプローチするため、重りを増やしてくれたそうです。
ちなみに、摘出した配線達はこれ。
コネクタが一個しかないのはおそらく捨ててしまったかしたんでしょうね笑
意外と単線が多くて興味深い配線材でした。
ちなみに、私、美容室行くと切られた髪の毛を掴んでマジマジと見てるタイプです。
そして、2回目のチューニングの内容としては、一年経って弦高が全体的に下がっておりセットアップした内容が崩れていた(触ってません)のでそこの再セットアップ、出音を考えた配線の交換と引き直しで2ヶ月半程で返送となりました。
一応、僕としても戻ってきたギター弾いちゃうとテンション上がって冷静に見られないと思ったので、事前に担当者の方に施工後の所見を聞いたんですが
返ってきたメールの内容は以下です。
"サウンドの変化は以下の通りです。
全て狙った通りの変化です。・
・
・ブーストしても音が潰れず、歪みx2+
・ピエゾとマグネットの馴染みが良くなりました。
・レンジが広くなりました。
・高域を上げても耳につくようなキンキンした音にはなりません。
・ノイズはどこかに行きました(笑)
良い事ばかり羅列したのでハードルが上がり過ぎていないか心配で
悪いところはよりセンシティブな楽器になったのでミスがばれやす