今日は機材や音作りの話はお休みで自分がとても気に入っている曲についての話をしようと思います。


ほとんど思い出話なので、興味のない方はここでブラウザを閉じてしまう事をおすすめします。





自作曲を作る人はその人それぞれの作り方があると思いますが、私の場合はいい曲書けたなと思える曲は残念ながらほぼ100%音以外のきっかけや偶然から始まります。


ぶっちゃけ、なんかこう作ってやろうみたいないやらしさが先立って書くとその通りになって結果として自分の中でさえ三流以下の曲ができてしまうんですよね苦笑


私の場合ですが、一つ例を挙げましょう。


私が今までのバンド人生の中で書いてきた曲はそんなに何十曲もありませんが、一曲だけものすごく気に入っている曲があります。


それはカッコいいリフがあるわけでもなく、ただただ三拍子のリズムに自分の好きなスタイルのソロを弾いて、ボーカルも壮大なメロディで伸び伸びと入れられたというだけの曲です。


これのきっかけは明け方の浅草駅のホームの光景でした。


当時、短期留学で米国に行ってた時に世話してくれた友人達が日本に旅行に来たので顔を見せに行ったものの、そいつらが飲み過ぎでヘベレケになって大変な事になったので急遽深夜にタクシーで外国人向けの安いモーテルに送って行ったんですよ。


もちろん、終電なんかあるわけないので浅草で始発まで時間を潰す事に苦笑


友人も僕も疲労感からひたすら無言で、イートインスペースのあるコンビニでは追い出されて行くあてもなくただプラプラしてたんですよね。


そして、いよいよいい時間になったので駅に入ってあれは夏の朝5時ごろだったかな、たしか。


浅草駅のホームには誰もおらず、行き先の違う友人とも別れて自分一人、携帯も電池切れ間近でぼーっと眠らない様に歩いていた記憶があります。


携帯を見て電池切れになってしまうと乗り換えがわからなくなってしまいますので、あーあ時間も潰せねえなと静かなホームでふと上を見た瞬間、文字通り息を飲む様な光景がそこにありました。


シンプルに切り取ってしまえば、夕陽の如く美しいオレンジ色に浅草駅から見えるビル達が朝焼けで照らされていただけなのかもしれません。


ただ、そこにはまだ時刻も相まってどこか暗さがあるんです。ビルの影やその反対側に青みがかかった部分もあるし、空はまだ紫色で"夜"がまだいるんです。


そして、大事なのはその時の音。


都会といえばいつも何処かで人の声や工事の音、車のクラクション、誰かの足音、信号の音、駅のアナウンスといろんな音の情報が強制的に入ってきますよね。


私がそのビル達を見上げたその時はそれらが一切無かったんです。ただひたすらに静かで、まるで世界で自分だけしか存在していない様な不思議な感覚でした。


あの街の中から聞こえて来る小さなごぉぉといった低音ノイズの様なものだけは聞こえていた覚えがありますが、本当に不思議な数分間でした。


立ち尽くして我にかえるまで、思考が止まって頭の中はなんて美しい光景なんだろうという感動だけがありました。


立派な絵画も、絶景と呼ばれる光景も人並みに見てきた経験はありましたが、あの時ほど頭の中を支配される様な美しさに息を呑んだことはありません。


この経験がきっかけになってその三拍子の曲は出来上がりました。


コード進行が理論的にどうとか、コードの構成がどうとかそういうものでは説明が付かない曲ができました。


もちろん、人によってその曲を聴いてこの程度かとか理論的ではないから不快だとかいろんな感想を持つ人はいるでしょう。


しかしながら、私にとってはそんなのどうでもいいんです。だって私があの時の光景を思い出して気持ちよくなるために書いた曲なんですから笑


歌詞と曲のイメージは


砂漠の中を記憶喪失の一人の旅人が歩いていて、

滅亡して砂漠化してしまった人工都市の様な街を彷徨う。目的は自分が何者かを知るために。


そんな内容の本を読んでいる人。


彼は自分が自分である所以がわからない。


自分自身がとても人に顔向けできる様な存在だと思えないため、いつも汚いと思う自分の本心を隠してしまう。

彼はその本の中の記憶喪失の旅人に自分を重ねる。


本の物語の中の救いの様な部分に何か光を感じて自信を取り戻していく。


音源らしい音源がないので残念ですが、こんなイメージの内容として仕上がりました。


ここまで具体的に情景が思い浮かぶと強いです。


どんどんアイディアが溢れて来る。


ストリングスを入れたいとかもうどんどん来ます。(やってませんが)




何が書きたかったのかまとまっていませんが、そういう強烈な経験を元に曲を書くと少なくとも自分の中では大きいものが出来やすいよねという事が言いたいだけの記事でした。



こういう曲は滅多に書けませんね。


私は過去にこれ含めて二曲だけそんな曲があります。


そのうち一曲はバンドでメジャーデビューを目指していた時のキラーチューンとしてずっと演奏していました。


今も仲間達で集まったら練習無しでも演奏できそうです笑




本日は一風変わった記事ですが、この辺りにしましょう。


年末年始、皆さんもどうか楽しくお過ごしください。


それではまた!