日米同盟vs.中国・北朝鮮 (文春新書)/リチャード・L・アーミテージ

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私事やなんだかんだで読むのに時間が掛かったが、渡米するまでに読み終えておきたかった。

この本で意見を述べてるアメリカのアーミテージ元国防副長官とナイ元国務次官補は知日派で知られる。

日本にとっての重要視すべき検討課題がよくわかると同時に、国益のために有能な次世代を育てておくことの大切さがよくわかる。

ただし知日派すぎるのか、日本を持ち上げすぎていると感じる点や自分の見解とは違う部分もあった。

それは、それで読んでいて非常に面白かった。


沖縄駐留米軍は、「核の傘」を担保する人質

→米軍が日本に駐留しているからこそ、本国・アメリカは、自国兵士(4万人を越える)を守るため、日本を守っているという側面もある。

沖縄が騒音等を理由に、事あるごとに基地移設を求めるのは、地元・建築業者の受注工事額を増やすことがる。

→小沢一郎は、辺野古南部に広大な土地を保有していた。

中国は日米同盟の「質」を試している。

日米安保条約第5条に関して、日本が自ら尖閣を守らなくなり、尖閣が日本の施政下になくなると、アメリカは尖閣を守ることができなくなる。

外交政策において、最も重要なのは、人間関係

→オバマ大統領は、一切の人間関係を拒むらしい

吉田茂が日本を世界第二位の経済大国に押し上げた。

中国は日本の右翼化を恐れている。

ひどい嵐の場合は敵であろうと味方であろうと、港への寄航を認める慣行があるにもかかわらず、中国は、米空母キティ・ホークの香港への寄航を認めなかった。

中国・人工衛星の撃墜実験について、軍部は、中国外務省に事前通達をしていなかったらしい。

北朝鮮では、張成沢(チャン・ソンテク、金正日の妹の夫)が新体制下で最も力の人物になる。

ロシアは、Eurasia(ユーラシア)から来ているらしい。EuropeとAsia

→恥ずかしながらChinaはシナと読めるから(チャイナとしか考えていなかった)、東シナ海と言うのを最近知った。

自民党実力者だった金丸信と金日成は二人で酒を飲み、金丸は涙を流して、挙句の果てに、賠償金の支払いを約束した。

中国は北朝鮮の核問題を憂慮しているが、北朝鮮の崩壊をもっと憂慮している。

→中国北東部に住む朝鮮系民族の一斉蜂起、ウイグル、チベット、台湾問題に波及するのが悪夢

→だから中国は北朝鮮に甘い

GHQには、日本を、ある種の理想郷である「未来永劫、戦争に手を染めない平和国家」に仕立てようとす
るスタッフがいた。

→しかし、冷戦や共産中国の誕生、朝鮮戦争の中で、米国の対日政策が劇的に変わっていった。

→世界は、目まぐるしく変化し、それに応じて日本も変わらなければならなかった。

吉田茂は、GHQが起草した憲法もやがては、日本人自身の手で書き換えられ、真の自立した国家として日本も安全保障上の負担を増やしていくと思っていたかもしれない。

日清・日露戦争において、米国は一貫して日本支持

当時の人々は、原爆を単に「より大きな破壊力を持つ兵器」としか見ていなかった。

昭和天皇は対米英戦争に反対していた。

核を「持ち込ませず」の対象に、日本領海は含まれていなく、対象は日本領土のみ。

核兵器は維持するだけでも大変な金食い虫

米英双方は核技術を共有している。

日本が核武装をすれば、韓国も核武装計画に走る。

→アジアでの核軍拡競争へ発展する恐れ

佐藤栄作は、自主核武装を水面下で検討していた。

イランは、イスラエルを世界地図から消し去ると公言している。

→イランが核武装すると中東各国も核武装へと走る

トルコは日露戦争での勝利から親日的

核兵器を持つというのは、通常兵器に使う金を節約できることを意味しないらしい。

米露戦略核兵器削減合意は、過剰演出(実際には、核弾頭数のわずかな数量削減)

バイデン現米副大統領は、昔、北朝鮮が核武装したら、日本も絶対すると事あるごとに指摘していた。

中国や北朝鮮が日本を脅しても、国連安保理は助けてくれない(中国は常任理事国なので拒否権を持っている)

内閣法制局による憲法9条の解釈を変えれば、改憲する必要はない。

→ソマリア沖での海賊対策は、集団的自衛権の行使

北海道の戦車部隊を増やしてもあまり意味がない

→現在問われているのは、沿岸警備、サイバー対策、ミサイル防衛


ミニ英単語

Host Nation Support 思いやり予算

Crook ペテン師

Extended Deterrence 核の傘の正式名称

Hole Card 切り札

Conventional Wisdom 当たり前のこと


なんだかんだで朝4時まで掛かってしまった。

明日(既に今日)の飛行機は成田シカゴ間だけでも軽く半日は掛かるから、ぐっすりだといいのだが。