
舞台は西暦2060年の日本、「科学警察研究所 法医第九研究室」、通称「第九」。そこで行われる「MRI捜査」では、死者の脳から記憶を映像として再現する事が出来るが、解明不能な事件の真相にさえ繋がる有効な捜査手段でありながら、世間から強い偏見と反発に晒されていた。捜査を担当する職員たちも、凶悪犯罪に関わる凄惨な映像と日々向き合うことで苦悩し、心を病む者も多い。
新人の 青木 一行 は最先端捜査を担う「第九」に強い憧れを持って配属される。だが、死者の脳から記憶を辿り、被害者と加害者の「秘密」を暴きだすその仕事は、想像を絶する凄惨なものだった。事件の捜査を通じ、青木は尊敬する第九室長 薪 剛が抱え持つ「秘密」とも向き合うことになる。
「難しい事件でしたら喜んで。」
その事件の中から御手洗が目を留めたのは、〈事件1:死体島〉という見出しの記事だった。御手洗とみゆきは早速、この半年間に次々と6体もの死体が流れ着いたという瀬戸内海の興居島へと向かった。現場に立った御手洗は、「犯人はこの特殊な海です!」と断言!世界でも稀な“時計仕掛けの海”と呼ばれる瀬戸内の海流が、ある場所からこの興居島へと死体を運んできたのだった。
そのある場所が広島県福山市だと突き止めた御手洗たちは現地へ向かい、福山警察署・黒田の協力を得て捜査を進めていく。だが、その福山で不可思議な事件〈事件2:外国人女性変死体事件〉〈事件3:赤ちゃん誘拐殺人事件〉が相次いで起こる。そんな中福山では伝説の生物・水竜の目撃騒動が世間を賑わせており、西京化学工業社長の槙田は建設予定の水族館に本気で展示を目論むほどだった。
一方、福山市立大学准教授の滝沢加奈子は、近年発見された福山藩主・阿部正弘に関する新資料の古文書に記されていた星籠(せいろ)について調べ始めた頃から、身の回りで不穏な出来事が起こるようになっていた。ある日、帰宅途中の加奈子が東南アジア系外国人集団に襲われた事がきっかけで、御手洗たちは星籠の謎までも追う事となっていく。
御手洗の超人的な推理により、一見何の関連性もないように見える3つの事件と星籠の謎が複雑に絡み合っており、次第にその奥に潜む犯人が浮かび上がってくる!果たして時計仕掛けの海を舞台に起きた3つの事件の真相と、幕末の歴史に隠された星籠の謎とは一体何なのか!?




