森之助がいく vol.365
『 魔法のアルミ缶 』
その昔、とはいっても1990年代の初め頃だ。バーコードバトラーなるゲーム機があった。ゲーム機についているスリット(みぞ)に、商品の箱や袋から切り取ったバーコードを通すと、それがHPや攻撃力や守備力といった数値に変換され、プレイヤー同士で強さを競う。
僕が20代後半の頃で、僕自身はこのゲームで遊んだことはない。小学生のいとこが大好きで、元クッキーかなんかが入っていたアルミ缶に、いろんなバーコードを保管していた。
アルミ缶かあ〜、僕も昔、ライダーカード(+カードホルダー)やメンコ(ガラスのオハジキのことを、僕らの地方ではそう呼んだ)やベーゴマやルアー(擬似餌)を入れて、貯めていたなあ...
今では、100均ショップなんかで、プラスティック製の工具箱ぽい、軽くて持ち運びしやすい容器がたくさんあるが、当時はなんといってもアルミ缶だった。
小学生の頃、缶の中から、メンコを取り出し、ゲームの際の攻撃の仕方をあれこれと想像し、脳からはドーパミンがドバーッと分泌され、至福の時を過ごしたものだった。もちろん、勉強は算数以外、あんまりしなかった。
あれは「宝箱」だったな。欲しいゲームソフトを買うという感じではなく、自分で価値を高め、作り上げていくっていう感じだ。まあ、今のゲーム愛好家たちが、課金してアイテムを購入する感じに近いかもしれない。
いずれにせよ根本の原理は同じ。ドーパミン、ドバーッだ^ ^。
ちなみにその頃、お菓子の「キノコの山」のバーコードが、バーコードバトラーで異常に強いという噂がちまたで流れ、「キノコの山」の売り上げが急激に伸びたらしい。
僕が当時その話をカミさんにすると、カミさんはヘェ〜、面白いねえ、と感心していた。
ある時、2人で町を歩いていて、雑貨屋の店頭に、「キノコの山」の巨大版(1000円ぐらいするやつ)があった。
すると、カミさん、それを見て、「ねえねえ、あれってバーコードバトラーに通したら、最強じゃない?^ ^」
そういうことにはならないと思うけど...^^;
でも、僕はそういうカミさんの感性が、わりと好きだ。
僕らの時代のアルミ缶は、現代では、スマホに形を変えている。アルミ缶の中にあったモノを超えた、僕たちが想像した世界よりも、はるかに大きな世界がスマホの中には広がっているのだろう。
スマホの世界は今の人たちにまかせるとして、自分だけの「魔法のアルミ缶」をまた作ってみたいな、と思うもうすぐ56歳の冬。