今月に入って「北海道・東北・信越にあるイトーヨーカドー全17店舗が今春から順次閉店」という記事を目にする機会が結構ありました。「まあそうなるだろうな」というのが正直な気持ちです。
私は過去にもイトーヨーカドーの問題点は書いていましたが、あくまで個人的な感想を書かせていただくと、全体的に「イメージとして高い店」だからです。これは「高級っぽくて高い」なら良いのですが、逆に「陳腐なのに高い」イメージです。
例えば何十年も力を入れ続けているアパレル部門。あんなの単なるムダです。いくつものプライベートブランドを立ち上げ、一時は伊勢丹でカリスマバイヤーと言われた藤巻幸夫氏(故人)を衣料事業部長として入社させたりもしましたが、お話しにならない状況です。
イトーヨーカドーやジャスコは衣料品がけん引役になって伸びた時代があったのは分かりますが、そんなのとっくに終わってます。西友から誕生した無印良品を目指したいのでしょうが、ユニクロ・GU・しまむらを超える安さと品質なんて無理ですよ。
うちの子供が中学生だった10年ほど前に「イトーヨーカドーで好きな服を買ってやる」と言ったら「イトーヨーカドーだったらいらない」と言われましたからね。市場調査の一環だったのですが、すでに「いらない」といわれる程度のポジションでした。
一方中心となるはずの食品スーパー部分を見ると、東京では関西のスーパー「ライフ」や「業務スーパー」が破竹の勢いで出店を続けています。また関東勢の「オーケー」や「オオゼキ」も強い。さらに「ドン・キホーテ」や「成城石井」も勢力拡大中です。
それらの店に言えるのは「光る何かがある」ってこと。そして「そこから来る安いイメージ」が定着してるってことです。成城石井のプレミアムチーズケーキは千円近くするけど激ウマ。ライフの焼き立てパン「小麦の郷」は専門店レベル。オーケーのピザやドンキの「ド」ブランド等もスゴイ。
それに対してイトーヨーカドーって全部イマイチ。激安PBブランドのザ・プライスを「セブン・ザ・プライスにリニューアル」なんて言ってる有様で、食パン105円、極小粒納豆(40g×3)51円といった感じでビミョーな価格。激安PBなのに他スーパーよりビミョーに高い。
精肉や鮮魚もそう。ビミョーな商品が結構な価格設定で売られてます。都市部でコレって事は、新鮮な食材が手に入る地方では勝負になりませんよ。
関東では生鮮食品部門をけん引役とした「ロピア」が躍進中なんですが、ららぽーとTOKYO-BAYにロピアが出店したら、車で買い物に行っていたイトーヨーカドーの津田沼店や船橋店の客が一気に吸い取られちゃいました。だって他店の方が新鮮で安いですから。
とはいえ大きなブランドですし多くの人々が働いているわけですから、良いコンサルをつければ再生可能だと思うのは私だけでしょうか?私なら仕入れ部門から改革しますが、近隣他店価格調査とかもやるべきですよ。なんで周辺より少し高めにしてるのか意味が分かりません。
近所だと大井町駅前にお店があるのですが、市場調査を兼ねて週1回は訪問してますが、硬直化した売場と雑然とした各フロアの商品展示状況にいつも驚かされます。少なくとも小学生ですら連れて行ってもらいたいと思わないのではないでしょうか?
今の売場に必要な要素は「トレジャーハンティング=宝探し」なんですが、まずそのための宝物を毎日各売り場に埋め込むことからやればいいんじゃないかと思ってます。頑張ってください!