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雲がわたあめに見える

つれづれなるままに

昔、私になついていた猫がいた。
家の近所に住んでいたらしく、友達になった。

高校に入学し、中学の友人とも疎遠になり、
孤独だったときにできた友達だった。

初めて彼と会ったときは、衝撃だった。
階段から降りてくると、私の昼ごはんを食べていたのだ。
にんじんや、里芋をしょうゆ味で煮込んだものだった。

私を見たら、彼は、「にゃー」と一声かけて
なんと、近寄ってきたのだ。
オレンジとも、茶色とも言わないような毛の猫だった。

普通は、逃げるはずだろう!

おそらく、近所に子どもが多いから
えさをあげられたりしていて
人間にめっぽう慣れていたのだろう。

彼と私は、どうやらうまがあったらしく、
しっぽを立てて、体をこすりつけたり

なでてやると、ごろごろ言ったりしていた。

彼は、何度か私の家に遊びに来た。
私は、彼にいろいろな食べ物を与えた。


ある日、母と車で出かけた。
すると、長い坂道の途中の車道のすみっこで、彼によく似た毛色の猫が
ぐったりと横たわっているのを見た。血も出ていた。
すべてを悟った私は、とても悲しくなった。
別の猫だったと思いたかった。

それから彼は、私の家に一度も遊びに来ていない。

なついていると思っていた彼も
実は、お腹をすかせていただけだったかもしれない。

でも、私は、彼に出会えて幸せだった。