マネーグラム
最近、Ripple社(仮想通貨XRPの利用を推進す企業)と提携したり、
アリババから買収の提案を受け、アメリカ政府に買収を否決されたり、
注目されている企業、マネーグラムについて調べてみた。
◆概要
マネーグラムの主な業務は国内外の送金である。
送金市場は年々拡大しており、今後も拡大していくことが見込まれている。
https://www.businessinsider.com/the-digital-remittances-report-2018-12
送金市場におけるマネーグラムのシェアは4位である。
https://www.businessinsider.com/the-digital-remittances-report-2018-12
◆Moneygramの売上と利益
市場の規模が増える中で、売上が減少している。
利益は赤字が続いている状態。
政府からの罰金が重しになっている。
注:AML(アンチマネーロンダリング)関連で政府から罰金を受けている。
青:売上、黄:利益
MoneyGram $MGI マネーグラムの利益
2016年 $15.90M
2017年 $-29.80M ($85M 当局対応)
2018年 $-24.00M ($70M AML罰金)
(2020年5/8期限 残$55Mの罰金あり)
上記を見ると罰金の支払い後、 2021年には黒字化しそうに見える
◆Moneygram関連のニュース
・Ripple社(仮想通貨・暗号通貨での送金に特化)との提携
・アリババから買収の提案
・アンチマネーロンダリングでの罰金
・ウォルマートとの提携
・韓国のベンチャー送金業社と提携
上記で注目すべきニュースはRipple社との提携である。
個人的に、この提携は、Moneygramの運命を左右する大きな意味を持っていると考えている。その理由について以下の通りである。
◆提携によるMoneygram側の利点
・罰金を払い終えるまでの厳しい資金繰りが確保できる。
(ripple社が1株4.1ドルで株を3000万ドル(追加で2000万ドル)購入し資金を提供。)
・コスト削減によるコスト競争力
(Ripple社のxRapidを使うことでコスト削減40%(-70%)ができるらしい)
・速い送金による利便性の向上
・競合との差別化(速度、料金)による売り上げの拡大と収益率の改善
・収益性の改善による調達金利の低下
xRapidの導入で流動資金(ノストロ口座の資金)が削減できれば
下記の借金$904Mと金利$50M(5.59%)の何割か削減できる
財務の改善による格付けの向上は金利を押し下げ、さらなるコスト削減を可能にするだろう。
◆提携によるRipple社側の利点
・世界的な既存のネットワーク網が活用できる
・送金による流動性が確保できる
・他の金融機関にアピールできる実績・信頼が獲得できる
◆まとめ
マネーグラムの国際送金網は、
アリババも相乗効果を狙って買収を提案するような価値を秘めている。
それを生かすRipple社との提携は、
Moneygramが黒字化し浮上する大きな転換点となる可能性がある。
リスクとしては、AML違反による罰金の再発であろう。