使ったものは、ちゃんともとにあった場所に片付けなさい。


そんな風に、誰もが小さいころから教えられたはずだ・・・。

きっとヒロシもそうに違いないと思う。


うちの食事は、台所のテーブルで食べる。

そう!

テーブルなので、椅子に座って食事をする。


食後、テーブルを離れるときは、当然にように椅子をテーブルの下に片付ける。


ヒロシはいままで、テーブルで食事をする生活を送っていない。

畳の上に座って食事をしてきた。


テーブルでの食事に慣れないヒロシは最初のころ、椅子を出しっぱなしで席を離れる。


「ちゃんとテーブルを離れるときは、椅子を片付けること!」


俺はヒロシに教えてあげた。


少しの間


「怒られるから片付けてないと・・・」


と言いながら、椅子を片付けて席を離れていた。

しかし、誰もいない昼食の後は片付け忘れていたりする。


そんなヒロシに、あるパターンがあることに気づいた。


ヒロシはなぜか朝食のときになると、急激に便意をもよおす。

食事が終わるか終わらないかのうちに


ピピプピプ~


とおならを鳴らしながら、トイレに駆け込む。


そのときは、ほぼ100%の確立で


椅子を片付けてトイレに向かう。


しかし、そのあと食事を終えて席をたつとき


椅子は片付いていない・・・。


謎だ・・・・。


普通は、トイレに駆け込むくらい急いでいるときに


椅子はひいたまま


行くと思うのだが・・・。

関西人は会話の中で、


「ピュ~」


とか


「バァ~ッ」


とか、やたらと擬音を使う。


ヒロシも、会話の中で擬音が頻繁に登場する。

大阪の生活も、10ケ月・・・。

大阪に染まってきた証拠なのか??


しかし・・・。

ヒロシの擬音の表現には、一般人には理解できない表現が多々ある。


朝晩の食事の前に、ヒロシは血糖値を計る。

ご飯の準備を始めると、ヒロシは


「ちょっと“チン”してくるわ」


と言う。


血糖値を測定する企画は、計測時


ピッ


って言う音が鳴る。


ヒロシには チン って聞こえるのだろうか?


この前も、インターホンが鳴ったことを


「ジリリィ~ンって鳴ってな・・・」


と、表現した。

一般的には


ピンポ~ン


じゃないのか??

ジリリィ~ン は電話でしょ?


ヒロシにはそう聞こえるのか?

他の音はどうなんだろう?

気になったので聞いてみた


「電子レンジはどんな音がなる?」


「電子レンジは“チン”やんか!」


それは正しい・・・。

少しホッとした。


じゃ~なんで インターホンと血糖値測定器 の音だけ違うんだろう?

謎だ・・・。


いまだヒロシの擬音には、世間とずれてる音が存在する・・・。

この季節、ヒロシは暖房器具を手放せない。

朝から晩まで、彼の部屋では石油ファンヒーターがフル稼働で働いている。


約1週間で、灯油がなくなるほどだ・・・。


最初のうちは、俺が灯油の補充をしていたが、ヒロシ自ら進んで補充するようになった。

ヒロシくん!成長したネ!


それだけ頻繁に灯油を補充していると、当然のことながら灯油のポリタンクも数週間で空になる。


「そろそろ灯油を買いにいかないと・・・」


そう思ったいたのだが、うっかり忘れてしまった・・・。

俺が仕事から帰ってくると、ヒロシが


「灯油、買ってきたぞ!」


自慢げな顔で、俺に言う。


「マジで?重かったやろ?」


杖をついてじゃないと歩けないヒロシが、自ら灯油を買いにいくなんて・・・。

ますます成長してるやん!

やれば出来るんやね!


「ほとんど自分で使ってるから、灯油くらい買いに行かんとなぁ~」


どうした?ヒロシ!

そこまで言うようになったか??


自分のことは自分でする!


やっと72になってわかったのか・・・。

感心感心!


これで灯油の心配はしなくていいなぁ~。


そして、数日前。

自分達が使ってる石油ファンヒーターの灯油を補充した。

ポリタンクの中には、一回の補充分の量があるかないかだ・・・。


「足りなかったら、ヒロシがなんとかしてくれるだろう」


そう思って、そのままにしておいた」


昨日、仕事から帰ってきたらヒロシの第一声!


「灯油買ってきてくれへんか?」


え?

自分で行くんじゃないの??


そこへ彼女が


「やっぱり重いから無理やって・・・」


あの自慢げに話したのはなんだったんですか?

結局、俺が買いに行くのか・・・。


「ほとんど自分で使ってるから、灯油くらい買いに行かんとなぁ~」


の言葉は嘘ですか??