憲法が危ない 緊急事態条項(6)
国民の協力義務と国会の統制
自民党の改憲草案の99条3項では、「緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わねばならない」とされています。
安保関連法での「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」では、「要請」に対する「協力」でしか規定できなかった事柄が順守義務まで高められることになります。
このことにより、国民に対し罰則付きの協力義務が課せられたり、戦争協力を法的に強制できる可能性が危惧されます。
業務従事命令が出され、従わなければ罰則伴う政令を制定することで市民(医師・技術者等)を強制的に戦場へ行かせることもできます。
また、98条4項では、「衆議院の可決後、5日以内に議決をしないとき」にも、「衆議院の議決を国会の議決とする」となっています。まさに、「衆議院の優越」が規定されており、参議院がねじれて不承認されたときのことまで想定しています。
これまでの歴史が物語っているように、緊急事態条項の行使が悲惨な状況を作り出してきています。
「法を無視することをあらかじめ許す法」の怖さを認識することが大切です。