憲法が危ない 緊急事態条項(3)
明治憲法は、「緊急勅令」「戒厳宣言の大権」「非常大権」「緊急財政処置権」と緊急事態条項を豊富に備えていました。
この緊急事態条項を備えていたにもかかわらず、国民の生命・身体・財産を守ることはありませんでした。
むしろ国家権力の暴走につながり、国民の自由と権利を奪っていつたと言うのが事実です。
ちなみに、現憲法にはこのような条項はありません。それは、過去の歴史の反省の上に立っているからです。
現憲法を変えなくても、警察法・自衛隊法・災害対策基本法などで十分対応ができます。つまるところ、災害への対応の要諦は、いざというときにこれらの法律を適切に運用できるかどうかです。
このことから考えられるのが東日本大震災での初動対応の遅れです。事前の防災計画策定、避難などの訓練、法制度への理解といった備えの不十分さにあると言えます。
原発事故も「安全神話」の下、大規模な事故を想定していなかったからです。
現憲法下で想定される緊急事態のほとんどが現行法制で対応可能であり、仮に対応できなかったとしても、それは憲法の問題ではないと考えます。