人は無情だ。
果てしなく何処までも続く無常の欠片の集まりだ。集合体だ。
地面を向いて歩いた。
肩がぶつかり、時折舌打ちが耳元へ届いた。
それでも下を向いて歩いた。
他人にはどう見えているのだろう。
もう他人の目さえ気にはならなくなっていた。
そんな自分に他人は容赦なく声をかける。
前を向け、と。
他人のこんな自分に、それでも声をかけるのだ。
放って置いても良い筈なのに。
それが痛い。
自分の行く末を微かながら捉えることも出来るだろう。
理解していないわけでも、知らない振りをしているわけでもない
それでも優しく痛い声を投げかけるのだろう。
聞こえない振りをして下を向き続ける事を意地だと言うのかもしれない。
頭は上がらない。上がる術を知らない。
声は正論を述べ続けるだろう。
辛くも正しい声だけを述べ続けるのだろう。
それでも私は下を向き続けるしか能がないのだろう。
前を向く事を諦めたわけではない。
辞めたのだ。
分かっている。理解している。
正しい言葉なんだ。
それでも、決めてしまったことなのだ。
私は全てを諦めた。
前を向く事を。全てを諦めた。
幸せなんて要らない。
この先に何もない事くらい分かっている。
何も無い道を歩き続けるために下を向いた。
現実を見ないように。何も聞こえないように。
何も聞かないように何も見ないように何も言わないように。
幸せは無い、しかし争いごともない。
変化はなく、舌打ちだけが耳を頭をよぎるそんな毎日に身をおくことを決めたのは自分だ。
何も無い。
それでいいのに
それの何が駄目なんだろう。
どうして駄目なんだろう
何も背負わない。
その代わり何も得ない
それを選んだのは自分だから
それの何が駄目だったのだろう
選んだ自分が駄目なのはいけないのは分かってる。
今ならそれも承知の上なのに
幸せなんて求めない。
何も無くて良い
年老いていく母親だけが肩の荷になるというなら
それさえも他人と比べてしまえば
どれだけ軽いだろう
贖罪のような者なんだ
何も無い。
何も無くて良い
それの何が悪かったのだろう
ただ酒を飲み煙草を吸って自分を売って
それの何が悪かったのだろう
それなら私の存在の全てが最初が悪かったはずなのに
どうして今も私は此処にいるのだろう
最初から居なくてよかったはずなのに
居たくなかった
痛くなかった
何も何一つとして最初からなくてよかった
好きな漫画のあの子は言った
もし自分の居場所を此処に居ても良いと
そんな自分の場所を自分の椅子を用意してくれる誰かがいたら
その誰かのために喜ばせよう
その誰かが悲しむのなら一緒に泣こうと
彼女にはきっとそんな居場所が椅子が用意される
創造物であって人ではないから
私はいつかを捨てた、誰かを捨てた
切り捨てて、切り捨てられる事を望んだ
それの何がいけなかったんだろう
どうして駄目だったんだろう
恵まれた人には
私の目には恵まれたように見える人しか見えない誰かは
必ず私に声を掛けるけど私には眩しくて見える事さえないのに
どうして見ろと言うのだろう
どうして前を向かなくてはいけないのだろう
どうして下を向く事を許してはくれないのだろう
どうして私の未来が見えたようにいい事があるといえるのだろう
私にはそれが分からない
どうして前を向かなくてはならないのだろう
そこに何があるんだろう
何かがあるといえるんだろう
ずっと暗いままなのに
前を向いた事がないわけじゃ無かった
前を向いても何も無かった何も
だから下を向いたのに
あた後ろ髪を掴みあげて前を向く事を強要される
下を向く事を悪だと教壇される
何がいけなかったのだろう
悪いことをしないように家に居ると
外に呼ばれ外に出れば傷付けられる
どうして下を向く事は悪なんだろう
皆が前を向いたら私も前を向かなくてはいけないのだろうか
皆と違うからそれが悪いのだろうか
なにが悪かったのだろう
悪いことをしないようにしていると詰まらないと言われた
悪くないように無理をすれば悪いと詰め寄られた
邪魔になら無いように隠れていれば良いのに
外に出ることももう辞めたい
何処にも行きたくない
生きてる事が向いてないのは分かってる
生きている事さえも無に返される
何処に行けばいいんだろう
なにをしても許されない気がする
何処にいてもお金はかかって何処にいても
なにが悪いのか分からない
生きていることが分からない
時間の経過に身をゆだねる事は悪いことのなのかな
何処に行けば許されるのかな
何を思えば正解なのかな
褒められる事が正解なら正解は知ってるのに
それは辛いと逃げてしまう
逃げないために自分を傷付ける事が正解なのか
甘やかす事が不正解なのか
母親はいつか私より万が一がなければ先に逝ってしまう
それまではどんな方法でもいいから
笑ってくれたら良い
それだけで良いのに
自分を一秒でも優先すると悪くなってしまう
最初から何処かで間違ってなんて居ない
さいしょからただ最初から間違っていただけなはずなのに
やり直せない
此処からやり直すなんて虚言でしかない
本当にそうしたいわけじゃない
その為に諦めたわけじゃない
全てが間違っていて
そもそもが私が間違っているなら
逃げてるだけだと
それは分かっているのに
それでも前を向きたくない
何も残っては居ない
だから、それだけなのに
どうして間違っているのか
どうして間違っていてはいけないのか
皆が世間がそれがどうして私の間違いに
辛くはない悲しくも無い
だとしても私だけなのにそれの何が駄目なんだろう
どうして駄目なんだろう