信頼関係、対等な関係を築けない
      〜パーソナリティ障害〜

パーソナリティとは?
例えば他人から「お前バカだな」と言われた時
あなたは相手に“見下されてる”とか“嫌われてる
など、ネガティブな思考をするでしょう
その場では笑って誤魔化しても別れた後に思い出して、じわじわと時間をかけて脳と心に浸透して、相手に対して怒り感情を抱き、後から相手に対して長々とその怒りのLINEを送りつけるなどの行動を起こす人もいるかもしれませんね
この思考・感情・行動のパターンの事をパーソナリティと言います

このパーソナリティは生まれもったもの(遺伝)であったり、生育環境(トラウマ)、発達特性、知的問題、個人の資質で変わってくるので多種多様であり、個人特有のものなんです

パーソナリティは成長と共に変化していきますが、成人するまでの間のどこかに歪みが生じた時に、
「社会不適合」などの障害として認識されます


精神科医のkagshyun先生の元を訪れる患者さんの傾向は10年前と現在では少し違うそうです

10年前はリストカットや大量服薬を繰り返すパーソナリティ障害の患者さんが圧倒的に多かったのですが、現在初診で訪れるのは統合失調症の患者さん、後期高齢者のPPSD(暴れる、徘徊)などの認知症や、衝動性、コミュニケーション障害などの発達障害の患者さんが爆増しているそうです

パーソナリティ障害で受診する人は減ったものの、思春期の若者の自殺は減っていませんし、トー横キッズも知的能力は高いのに、大量服薬などの行動障害や感情のコントロールが出来ないなどの、パーソナリティに何らかの問題を抱えた若者が多くなっている現状があります
こんな状況なのにパーソナリティ障害の診断を受ける患者が減ったのは何故なのか?
おそらくパーソナリティ障害を含む軽度知的障害が、発達障害の中に組み込まれているからじゃないかとkagshyun先生は考えています

パーソナリティ障害とは?
ちょっと変わってるよね?
ちょっと絡みづらいよね?
ちょっと厄介な人だよね?
この人、人の心をもってないのかな?…などなど、
感じる事が多々あるけど、それが障害レベルかどうかは診断がつけにくいそうです

パーソナリティ障害の診断基準のポイントは、当人の偏った思考の固有のパターンが属する環境に適合してるかどうか

例えば自分の意見や要望を強く主張する人は、日本人の中では浮きがちになりますが、海外に出れば自己主張は必須なので障害にはなりません
逆に変化に弱く、不安が強い、冒険しない日本人は海外に出るとパーソナリティと環境がマッチしないので、障害と診断されやすい

悲しい出来事があった時、(例えば失恋で食事出来ないとか怒りっぽくなる等)一時的にパーソナリティ障害のように見える場合もありますが、それはあくまで一時的なものです
ましてや子供や思春期の中高生も不安定な精神状態になりやすいけれど、脳が未発達の状態なのでパーソナリティ障害の診断は下せません
本当のパーソナリティ障害は青年期を過ぎても持続的かつ、甚大な苦悩が続く状態で、本人とその周囲の人が困っているという事がポイントなんです

パーソナリティ障害は周囲の人を巻き込むというのが大きな特徴で、鬱病と比較しても周囲の人を疲弊させやすいのです

パーソナリティ障害の根底にあるのは過度に傷つきやすい性格
そのため信頼関係を築けない、対等な人間関係を築けない障害とも言えるんです

パーソナリティ障害を治す薬は有りません
なので治療はとても困難で、社会に上手く適合出来ないが故、他の精神疾患を発症しやすい難しい障害です

次回は境界性パーソナリティ障害です