向日葵と雑草 | 落書帳

向日葵と雑草

いつもあいつは明るい日向にいた






先輩、後輩、男女関係なくあいつの周りにはいつも人だかり出来ていた




あいつは皆に愛されるアイドルだった




たくさんの光を浴びて輝くひまわりの様な存在だった



それに比べ俺は
人を威嚇し遠ざけ孤独を好んだ




日陰にひっそり咲いてる
誰も気付かない雑草だった



そんな正反対な2人だったから
決して交わる事もなく




お互いがお互いを変に意識してきた




俺は俺だから
あいつになんて興味はない



なんて言いながらも
どっかしらうらやましかったんだ




ほっといても人だかりが出来るほどの
奴の求心力とアイドル性が



あいつは正に自分に無いものを持つ人間だったから




そんなガキの頃から何年も経ち




二度と会うこともないと思ってたが




少し前偶然にも入った店で再会を果たした




それは点と点が
一本の糸と言う名の線になった瞬間だった




話しかけてきたのはあいつの方から




俺も大人になりトゲも抜けてたので
普通に昔話に花を咲かした



そしてしだいに酒も入りぶっちゃけトーク




俺はお前が嫌いだった
そしてうらやましかった




そうはっきり言ったら
思いもよらずあいつからも
全く同じ答えが返ってきた



嫌いだったのは分かるが
あの時の俺の何処がうらやましいのか?
それが疑問で仕方なかった



するとあいつはこう言った



言いたい事をはっきり言い群れずとも自分をしっかり持ってた所がうらやましかったと




俺はその言葉が素直に嬉しかった




あの時の俺を
そんな風に見てくれてたのかと




嬉しい気持ちと同時に
1つ再確認した事があった




それは…
俺は俺らしくこれでいいんだという事




やっぱりいつまで経っても日向で明るい所は苦手だ
長くいると疲れちまう




だから今まで通り日陰の雑草
それが一番居心地が良くて自分らしい




フィールドは違えど雑草でも強く咲いてるから




そしてそれは皆だって一緒だ




日向
日陰

路上
場所なんて何処だっていい




自分が自分らしく
生きられるフィールドを見つけ




そこで胸を張って




咲き誇れ




俺達は皆咲いている