　入社して半年経った。入社した4月には桜が満開だったのだが、今は金木犀の香りが濃く漂う、秋の季節となった。

自然に囲まれたこの製薬工場の敷地の周辺は、季節の移ろいが街中よりも、より強く感じられる。

自然豊かな周囲の環境と、建物内の無機的、機械的な環境のギャップ。このアンバランスさが何か自分的には、映画で見るような、近未来的な雰囲気があって、何となく好きだ。

今日も朝から、8階分の非常階段を上って、屋上の点検から巡回を開始する。

半年も毎回、階段を上がっていると、息こそ多少上がるが、足の疲労は無くなった。

今日は晴れて空気が澄んでるせいか、富士山が綺麗に見える。

朝から、気持ち良い、富士山だ。

初冠雪からちょっと経っているので、雪の部分がだいぶ増えてるのが分かる。

いつもの巡回が終わった後、今日は何ヶ月かに1回当たる、いつもと違うエリアの迷路のような天井裏の点検がある。

ここに来て半年経つが、唯一、たった一人で回った事のないエリアだった。

理由は1つ。入ると迷ってしまうからだ。2回程、同僚の案内で来てはいたのだが、ルートが複雑過ぎて結局、覚えられなかった。

そこを今回は初めて1人で点検することになった。

何の目印も無い真っ暗な天井裏をひたすらに匍匐前進した結果、案の定、迷ってしまい、焦ってがむしゃらに出口を探して、やっと見つけて、暗闇から、汗みどろで出口に辿り着く。

そしたら、そこは建物裏側の非常階段だった。昼下がりの太陽の光が、救いの光のように感じた。

やっと、外に出られた安堵感。

この高さでも、金木犀の大好きな香りが微かにして、余計に安心した。

しかし、危険な階段なので要注意。

もう怖くて戻りたく無いので、やむ無く、この急な梯子の非常階段で1階へ降りる。

そんな訳で、今日の点検は、途中で断念した。焦って暗闇で階段から滑り、右腕に青あざを作ってしまった。

いや〜しかし、今日は疲れたが、これから夜勤。

今日も15000歩を超える。

よしっ！！

これから、自重筋トレの開始だ。

夜勤はとにかく時間が長いので、眠くならないように、夜勤の時には、筋トレをしようと決めた。

疲れているからって休むな。燃え尽きろ。

今日朝、富士山に手を合わせて、お祈りした。

「今日も全力で燃え尽きるまで、仕事頑張ります。」

50歳を過ぎて、異業種に転職した結果、毎日、挑戦の連続だ。でも、毎日が楽しく思える。

今まで色々な仕事して来て、仕事に行きたくないなあー！と言う気持ちが、ここに来て、全く無くなった。

多分、この仕事が自分にとって、合ってるんだろう。

だからこそ、頑張る。

燃え尽きた先にこそ、明日がある。

燃え尽きろ、第三の青春。

ザ•サード•アオハル