　雪が降ったので、片道2時間以上の痛勤を断念して、途中駅の大宮で電車を降りて、カプセルホテルに泊まることにした。

　限界だった。通常でも2時間20分かかる痛勤時間が電車遅延でこれ以上遅くなる。無理だ。

　毎日、朝2時間通勤で会社の最寄り駅に降りた後、疲れて滅多に飲まない自動販売機の甘〜い砂糖、ミルク入りのあったかい缶コーヒーを飲まないと、疲れ過ぎて、後20分歩いて会社に行けない。それだけ、しんどいんだ。

　この埼玉から東京までの通勤から解放されたのが、転勤で行った仙台だった。当時、会社に用意してもらったアパートが、職場まで歩いて5分だった。

　通勤1時間以上が当たり前だった、20代〜30代の自分にとって、目から鱗だった。

　通勤が5分なんて神だった。朝起きて準備して、15分あれば会社に行ける。えっ？まだ、眠気が覚めて無い。そんな通勤だった。

　それから、会社貸与のアパートを退去した後、仙台中心部に引っ越した。仙台駅まで歩いて10分のマンションで家賃5万以下。東京だったら、有り得ない。そして、職場は大体中心部にあったので、歩いて30分以内で通えた。この利便性こそ自分が11年も仙台に住んでいた最大の理由だ。

　その利便性の恩恵を受けられなくなって、51歳でまた、元の木阿弥。因果応報とはこの事か。

　苦痛を逃れたはずなのに、また、同じ苦痛に見舞われる。

　苦痛は逃れるものじゃなく、向かい合うものなのかなぁ？

　そして、今日も居酒屋で飲む。飲んで飲んで飲まれて飲んで、自分と向かい合う為に。