私のC58 NO.31 290号機 | 割ピンとステップルの旭ノ本金属工業所 社長&スタッフブログ

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割ピンとステップルの旭ノ本金属工業所 社長&スタッフブログ-河梨峠への25‰を駆け上る 雨の中、河梨峠サミットを目指して


篠突く雨の中、但馬三江を11時41分に定時発車した326レが、25‰の急こう配を駆け上がってきました。


牽引機は西舞鶴区所属の290号機です。機関士仲間では、蒸気の上がりがいまひとつ、とのことでしたが、湿気と寒気の入り混じった春の雨の中、勇壮な煙を上げ、ドラフトがあたりの山々にとどろく力走です。この日はオハ60系客車、現車6両の荷が重い仕業。

濡れたレールで足を取られないように (空転しないように) と、290号機がカメラを構えた私の横を通り過ぎ、列車の最後部が山の端に隠れるまで見送っていました。


この290号機は千葉機関区時代にお召牽引の実績があるということで、デフの手すりがメッキ仕上げになっていたこと、そして昭和43年正月に訪ねた西舞鶴機関区でキャブに乗せてもらい、機関士席から顔を出して記念写真などという、ささやかな私の思い出のカマでもあります。


昭和45年。津山機関区から西舞鶴に113号機、170号機が転入してきてからは、この290号機の活躍する姿を見かけることも少なくなり、9月30日の宮津線蒸機旅客列車廃止の日を待たずしてひと足先に休車になったのは寂しいことでした。

ちなみに西舞鶴機関区のサヨナラ列車牽引は113号機。せめて西マイでは古株であった290号機に、最後の花道を飾らせてやりたいと思ったのは私だけだったのでしょうか。


290号機、機関車本体は解体されてしまいましたが、梅小路蒸気機関車館で保存されているネームプレートを発見した時、私は遠い昔の宮津線での活躍を思い出し、思わず涙しました。


トウジ