感想

ベトナムのハノイを舞台に救急車で人間狩りにいそしむ医師、その肉を食べ人肉中毒になっていく息子、その犠牲になる人たちの復讐を狂気的に描いたゴア要素の強いホラー作品。

映画学校の卒業製作として企画されたものをアップデートしたインディペンデントな作品で、ゴア表現やアクションなどに対しては見栄えはするし、子供に演じさせることでの残虐さを助長することは成功していると感じる一方で、各登場人物の印象づけが弱く、カニバリズムが連鎖していくこと表すために、同じシーンを立場を入れ替えて見せる場面などでも、あの場面で犠牲になった人という印象が薄いまま、後のシーンで登場しても気づきにくく、意図した人物とシーンのリンクによるつながりや驚きが分かりにくく感じる部分が多く、物語全体の展開の分かりにくさにもつながり、映画全体としてはぼやけた印象を残しました。

食人=カニバリズムに対して、それぞれの登場人物が負の連鎖のように、その悪魔的な魅力に引き寄せられていくことを群像劇的に描くのであるとしても、中心となる登場人物を絞って、観る側に肩入れしやすいガイドをつけてあげる必要があったように感じました。