あらすじ

42歳 独身 青森県弘前市出身。人生を諦めなんとなく過ごしてきた就職氷河期世代のフリーター陽子(菊地凛子)は、かつて夢への挑戦を反対され20年以上断絶していた父が突然亡くなった知らせを受ける。従兄の茂(竹原ピストル)とその家族に連れられ、渋々ながら車で弘前へ向かうが、途中のサービスエリアでトラブルを起こした子どもに気を取られた茂一家に置き去りにされてしまう。陽子は弘前に向かうことを逡巡しながらも、所持金がない故にヒッチハイクをすることに。しかし、出棺は明日正午。北上する一夜の旅で出会う人々―毒舌のシングルマザー(黒沢あすか)、人懐こい女の子(見上愛)、怪しいライター(浜野謙太)、心暖かい夫婦(吉澤健、風吹ジュン)、そして立ちはだかるように現れる若き日の父の幻(オダギリジョー)により、陽子の止まっていた心は大きく揺れ動いてゆく。冷たい初冬の東北の風が吹きすさぶ中、はたして陽子は出棺までに実家にたどり着くのか…。

  感想

『海炭市叙景』『#マンホール』などの熊切和嘉監督最新作。

監督出演者登壇の舞台挨拶を含む上映回にて鑑賞しました。

 

父親が突然亡くなった知らせを受け、葬儀の行われる青森まで向かうが、あるトラブルで置いてけぼりにされ、スマホが壊れ、所持金のほとんどない陽子は、ヒッチハイクをしながら青森まで向かうというお話。

 

制作時のエピソードなどを聞くと低予算ながら、主演の菊地凛子さんの時間を経て、気持ちが変化していく様が、繊細で美しい内容で、好きな部分も多い作品でした。

 

しかし、物語の細部、特に序盤の展開や時間の使い方、サービスエリアで置いてけぼりにされるところやヒッチハイクのノウハウを教えてもらう下りなどは、かなり重要な場面のはずなので、もう少し効果的に見せるべきポイントだったように感じました。

 

それでも、様々の人たちとのヒッチハイクを通した経験により、ある意味自分らしさを取り戻していく故郷への道程を経て、父親への邂逅があり、シンプルながらも良い作品だと思いました。

 

舞台挨拶では、幻の父親役のオダギリジョーさんの発言が緩くて、都度都度笑いを誘ってましたが、作中の雰囲気には合っていていましたし、各配役の良さは光るものがありました。

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