あらすじ

初めて訪れた映画館で映画に魅了された少年サミー・フェイブルマン(ガブリエル・ラベル)。その後彼は8ミリカメラを手に、家族の行事や旅行などを撮影したり、妹や友人たちが登場する作品を制作したりするなど、映画監督になる夢を膨らませていく。母親(ミシェル・ウィリアムズ)が応援してくれる一方で、父親(ポール・ダノ)は彼の夢を本気にしていなかった。サミーはそんな両親の間で葛藤しながら、さまざまな人々との出会いを経て成長する。

  感想

スティーヴン・スピルバーグ監督最新作。

監督自身が映画監督を志すまでの青春時代を描く自伝的作品。

 

観た映画から影響を受け、模倣するように8ミリカメラでシーンを撮影するシーン、その映像は素敵でしたが、家族特に母親中心の物語になる中盤は、その影響力は大きいのかもしれないですが、若干脇道に逸れた感じが残りました。

 

あと、後半の高校生時代のエピソードは、ユダヤ人であることや登場人物の関係性が省かれた感じがあり、もう少し時間をとって描いていたら、面白さが伝わりやすくなったように思えました。

 

映画監督の孤独、プライベートとの切り分けなど、芸術家として生き方、運命の瞬間を捉えどころは明快で素敵ですが、ところどころで入る教訓的なメッセージは少し説教くさいところもありました。

 

この先、ラストのネタバレをしますので、観る予定の方はスルーしてください。

 

 

最後の主人公と面会する大監督の言葉は、短いながらも素敵なアドバイスで大変心に残りました。

 

スピルバーグ監督の集大成のような作品で、映画に対する愛情が込められた内容ですし、自信のアイデンティティーに対しても、きちっと説いていて、それも潔いと感じましたが、序盤の面白さから、少しずつトーンダウンしていく展開に、映画で変わっていく人生と引き換えに失ったものとの悲しさの方が上回っていることの厳しさがあり、全体としては少し物足りないところが残りました。

 

 

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