あらすじ 

人を食べてしまう衝動を抑えられない18歳の少女マレンは、同じ秘密を抱える青年リーと出会う。自らの存在を無条件で受け入れてくれる相手を初めて見つけた2人は次第にひかれ合うが、同族は絶対に食べないと語る謎の男サリーの出現をきっかけに、危険な逃避行へと身を投じていく。

 

 

感想 

「君の名前で僕を呼んで」のルカ・グァダニーノ監督最新作。

 

いわゆる人食(カニバリズム)の衝動を抑えられない少女マレンがかくまってくれた父から見放され、小さな手がかりから母親を探す旅にでるロードムービーです。

 

物語の核心に触れたいので、この後ネタバレします。

 

旅の中で、同じカニバリズムの人たちに出会うのですが、恋愛関係になるティモシー・シャラメ演じる青年リー以外の人は、完全に敵対視する描き方をしていて、少女からの目線だから仕方ないですが、同じように人を殺して食べているのに、格差をつけていることに、理不尽さを感じました。

 

あと、食人のルールというか、他のカニバリズム映画よりも常識的な生活を描いているため、普通の食事もできるのに、人肉を欲する理由づけ、タイミングが不明瞭で、リアリティ寄りの演出のため、カニバリズムな人たちの生活意識を明確に分からせるシーンが必要だったように感じました。

 

映像やショット自体は美しく、ティモシー・シャラメ目当ての方には満足できる内容かと思いますが、カニバリズムがその正体を隠しながら生き抜いていくというリアルを描く説得力は薄く、マイノリティならではの苦悩がもう少し映像として観たかったと思いました。

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