あらすじ 

カルパチア山脈の東側、スロヴァキア南西部のファトラ山地。この痩せた土地で、厳しい自然条件や孤独と闘いながら、農業や羊飼いを生業として暮らす70歳以上の老人たち。からくり人形作りに熱中する男性。事故で歩けず25年間膝を使い暮らしてきた男性。めんどりに聖書を読み聞かせる男性。結核を患い、納屋で50年暮らすという農婦の姿は、いつか彼女自身の葬儀の写真に連なる。内なる自由をいきいきと生きる彼らにとっての愛や家族、夢、労働や人生の意義とは…

 

 

感想 

1972年のチェコスロヴァキア(現在のスロヴァキア)のドキュメンタリー作品。

厳しい環境の中、孤独に生きる老人たちの姿と人生の意義を唱えた内容。

 

デジタルリマスター版になって、やっと観られました。

平たく言うとインタビュー集なんですが、合間に挿入される写真が大変美しく、そのしわの数が人生の年輪を感じさせて、そこに重なる環境音も含めて、退屈さは全くありませんでした。

老いや死を実感する世代から離れた若い方だと、響きにくい作品かと思いますが、身体を動かすだけでも苦労される姿、それでも牧畜や農作業などの労働に生きがいを感じているのは、頭の下がる思いで、衰えを感じ始める世代としては観ることが出来ました。

 

多くを語る映画ではないですが、当時共産主義にあった国の満たされない状況を鑑みると、孤独に生きる選択を強いられた方も多くいたのではと思い、名前すらない老人たちが生きた歴史を肌で感じるモノクロ映像が、美しく記憶に残りました。

 

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