あらすじ

オシャレなサブカル雑誌が大好きな詩織は念願かなって都内の出版社に就職。しかし、そこはオシャレのカケラもないどころか卑猥な写真と猥雑な言葉が飛び交う男性向け成人雑誌の編集部だった。理想とかけ離れた職場に最初こそテンションがダダ下がりの詩織だったが、女性編集長の澤木や女性ライターのハルなど、女性が「エロ」を追求している姿に刺激を受け成人雑誌に対して興味を持ち始める。しかし、そんな中、編集部で取り扱っていた雑誌で「とんでもないミス」が発覚。それを境に共に激務を戦ってきた同僚の編集者たちが次々と退社。オーバーワークで心も体も疲弊しきった詩織だったが、さらに追い打ちをかけるように衝撃的な事実を知ることになる。

  感想

成人向け雑誌の編集部に新入社員として配属された詩織を通して、実話に基づいたエピソードとコンビニから成人雑誌が排除される時期を生き抜く人々の運命を描く作品。

 

当初1週間限定上映ということで最終日になんとか観られました。

上映後の舞台挨拶にて、来年拡大上映の決定が発表されたので、今後は各地で観られるようになると思います。

映倫基準がPG12ということで、性的表現は控えめで、大変丁寧に作られたお仕事映画で、思っていたより地味な作品でした。

男性向け成人雑誌に求められる「エロ」を主人公の詩織が模索しつつ、ライターのハルとの交流の中で、なぜSEXをするのかという疑問に対して、理屈でない答えや、働き手としての図太さを手に入れていく過程、業界としてのグレーな部分を織り交ぜつつ、他の編集部のメンバーや営業の方たちの神経のすり減らし方や、雑誌販売が斜陽になっていく中での違う道の選択など、外側から見えない部分を丁寧な取材力で、リアルな描写になっていると思いました。

時系列どおりに描かれ、成人向け雑誌が衰退していく流れなので、映画的には盛り上がりに欠けるのですが、終盤の展開は、それぞれの内面の描き分けや意外性もあり、小さな希望もあって、後味は大変良かったです。

ニッチな業界の話ですが、内輪ウケに留まらない、働く人なら誰もが感じる内容ですし、ソフトな表現のため、性別問わず観やすい映画だと思います。


 

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