あらすじ
2020年、デザイナーの真知子はバンドマン志望の怜人と、元子役でバラエティタレントの鈴はあざとかわいい男子の富と、金髪ギャルの美和はハイテンションなフリーターの泰造と、風俗嬢の七瀬はプライドの高い元子役の慎太郎と付き合っていた。それぞれ彼氏に不満を抱きながらも幸せな日々を過ごす彼女たちだったが、男たちは彼女に甘えて増長し、ついに別れの時がやって来る。
感想
劇作家の根本宗子さんの演劇を映画化した作品。
舞台を見てなかったので、予備知識を入れずに観てきました。
さらに、ライブビューイングですが舞台挨拶の中継も拝見しました。
想定してたよりも面白かったです。
個別の4組のカップルの顛末のように見えて、ミニマムに繋がりも見せていくところまでは、普通の恋愛作品っぽいですが、肝となるのは男女の考え方の不一致ですれ違うだけのまとめ方にせずに、個々の世界を「超越」していく終盤の展開は舞台劇の設定をそのまま生かしてる部分と映像的なクローズアップが生かされているところの双方が混ざり合っていて、素晴らしかったです。
恋愛のおけるダメ男が救えないから見捨てるのではなく、そこから妥協できるところやそうすべきバカバカしい理由をつけて、ミラクルを起こしていくのはフィクションでしたありえないですが、ダメ男というレッテル張りをすることで恋愛の努力を放棄しているとも言えるので、単なる女性共感の映画という面だけではなく、理想を追い求める以上に妥協点を見出していく努力をしていくという意味が込められていると思いました。
特に映画脚本も手がけた根本宗子さんの俳優さんの個性を引き出す台詞の数々、クセの強いキャラの色分けとお米などのキーアイテムをシンクロさせていく見せ方も、終盤で意味を持たせてる役割を果たしてるのは素敵でした。
キャスト陣の中でも唯一俳優ではないOKAMOTO'Sのオカモトレイジさんの憎めない感じとギャル役の伊藤万理華さんのグリルズをはめる下りは笑いが起きてました。
映画と舞台劇の融合がなされていて、普通の恋愛あるあるだけでは終わらない日本映画にはなかなか見られない着地をするので、ネタバレせずに驚いたり呆気にとられたりしてほしいです。
エンドロールではaikoさんの「果てしない二人」が流れます。
映画とは関係ないですが、個人的には先週aikoさんのライブに行って生歌を聴いたばかりでしたので、琴線に触れる部分は大きかったです。
恋愛のかゆいところに届く詞と曲も併せて聴いて欲しいです。
公式サイト
果てしない二人 MV