あらすじ

8月12日。

下鴨幽水荘で唯一のクーラーのリモコンを水没させてしまった「私」は 、

突如現れたタイムマシンで昨日に戻り、

壊れる前のリモコンを持ってくることを思いつく。

しかし悪友・小津たちは勝手気ままに過去を改変。

宇宙消滅の危機を予感した「私」は慌てて回避すべく奔走する。

果たして、時空を超えた珍道中、

そして「私」の密かな恋の行方はいかに。

  感想

森見登美彦さん原作の「四畳半神話大系」「夜は短し歩けよ乙女」の世界観とヨーロッパ企画による舞台にして後に映画化された「サマータイムマシンブルース」の物語を融合させた新作のアニメ映画化作品。

 

原作未見。

今回のために、かなり内容を忘れていた映画版「サマータイムマシンブルース」を観ておいたのですが、それが裏目に出たかと複雑な感じでした。

 

「四畳半神話大系」のキャラクターたちが、当時の雰囲気そのままに生き生きと動く姿を見られるだけでも楽しいのですし、そこに「サマータイムマシンブルース」のタイムマシンを含むミニマムなタイムトラベルとその顛末は、進歩的ではなかった大学生たちの物語の少し先の物語とも受け取れるし、SFとしても面白かったです。

 

ですが、本筋は「サマータイムマシンブルース」そのもので、「四畳半〜」の登場人物ならではの味わいと、主人公「私」と明石さんの恋の行方だけがオリジナル的要素なので、新たな驚きは少なかったです。

 

それでもエアコンのリモコン1つを巡るタイムトラベルの奇っ怪さは変わらず面白いですし、過去と未来の影響力を感じさせる整合性のつじつま合わせも美しかったですし、実写映画の「サマータイムマシンブルース」よりも、キャラの魅力分面白さを上がっている感覚はありました。

 

あと、過去作以上に明石さんの言動や仕草などが可愛く描かれているように感じられたのも良かったですし、唯一両作品に出演している未来から来た大学生の田村役の本多力さんの存在も大きかったです。

 

既視感が残りますが、「四畳半〜」のキャラの魅力でアップグレードされたところ、「私」のナレーションによる複雑な物語の説明的役割もあり、整理された物語になっていることもよい効果を生んでいて、良作だったと思います。

 

Disney+では、映画にない追加エピソードも配信されるようなので、今作のためだけに加入して、配信されたら、また感想を書きたいと思います。

 

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