あらすじ

初老の中東系カナダ人女性ナワル・マルワンは、ずっと 世間に背を向けるようにして生き、実の子である双子の姉弟ジャンヌとシモンにも心を開くことがなかった。そんなどこか普通とは違う母親は、謎めいた遺言と二通の手紙を残してこの世を去った。その二通の手紙は、ジャンヌとシモンが存在 すら 知らされていなかった兄と父親に宛てられていた。遺言に導かれ、初めて母の祖国の地を踏んだ姉弟は、母の数奇な人生と家族の宿命を探り当てていくのだった・・・・・・・。

 

 

  感想

近年「DUNE」などSF大作を手がけるドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の2011年の作品のデジタルリマスターとなって劇場公開されているのを初鑑賞しました。

 

近年のSF作品しか観ていないので、今作もタイトルしか知らなくて、情報を入れずに観ました。

 

物語としては亡くなった母親が残した遺言を元に残された姉弟が存在すら知らなかった兄と父を探すお話。

 

「兄」と「父」を探すというのが、物語の目標として違和感を感じるのですが、その予感は的中して、中東紛争の中の異質な運命線にたどり着く流れは、なかなかの気持ち悪さでした。

 

母親の半生をさかのぼることが物語の大半を占め、父と兄の行方についてはミスリードを含ませつつなので、中盤まではあえてわかりにくい描写になっているところがあり、少し頭で整理しつつ、物語を追う必要はありました。

 

戯曲がベースということですが、個々のエピソードそれぞれが濃厚で、ロケーションとしても瓦礫や機能していない建物の残骸などを含め、生々しく感じて、物語の結実までの展開も大変ドラマチックで、最後までのめり込みながら観ることができて、満足度は高かったです。

 

あえて言うなら、姉弟の母親としての姿がほぼ描かれないに等しいので、数分でもいいので、どのように母親として異質だったのかの部分が観られたら、より良かったように感じました。

 

 

 

 

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