あらすじ

大学でデザインの勉強をしている優実(木竜麻生)には、演劇サークルに所属する直哉(藤原季節)という恋人がいるが、ある日、自分が妊娠していることに気付く。悩みながらも優実は直哉に妊娠と、ある事実を告白する。直哉は将来自分の劇団を持ちたいと願っていた。現実を受け入れようとすればするほどふたりの想いや考えはすれ違っていく…。

 

 

  感想

タイトルの「おとな」の意味は、自分たちが大人になりきれてないからあえての裏返しなんだととは感じられて、いいタイトルだとは思ったんですが、「ちゃんと避妊しましょう」ってだけのことを2時間くらいかけて、ずっと見せられてるのは少し苦痛でした。

 

妊娠による恋愛から共同生活に変わる責任と自分の夢を天秤にかけて、諦めきれない男性側の若さと、本当の父親が分からないながらも愛の形を結実したい女性側のせめぎ合いがあって、もう少し年齢が上なら普通なのかもですが、大学生レベルでは自分のことを優先しすぎるところがまだあって、相手側の気持ちに寄り添えていないところを描きたいのかとは思いました。

 

ただ、映画が始まってすぐに既視感があって、2011年のアメリカ映画「ブルーバレンタイン」にそっくりだと気づいてしまいました。

 

今日、やっと時間ができて観直したら、現在の仲が悪くなっていく時間軸と交際が始まって仲が深まっていく時間軸が交互に描かれていく流れが同じなので、制作段階で参考にされたのかとも思いました。

 

しかし、「ブルーバレンタイン」では、現在をデジタルなはっきりとした映像と寒色系の色合いで構成され、過去はフイルムライクな粒状感のある暖色系の色使いと、映像が切り替わった瞬間が見た目で直感的に分かり易く作られているのに対して、「わたし達はおとな」では、その切り替わりが大変わかりにくく、観ている途中で現在か過去のシーンなのかを判断するのが難儀しました。

 

もともと、時間的隔たりも1年くらいなのかと思うので、容姿も変化つけにくいのは分かるのですが、かなり頻繁に切り替わるので、もう少し分かり易くしても良かったと思いました。

 

不快に感じるくらいリアルに見えるという意味では、メインキャストの方々の演技が真に迫っているとも言えるので、それ自体は問題ないのですが、対象年齢が20代くらいの同世代にしか響かないレベルに収まってしまっているのは、少しもったいないような気がしました。

 

映像の切り取り方はきれいですし、大学のキャンパスのロケーションも、環境自体がいいのもあるのもあってそれぞれのショットは決まっていますし、ガールズトークな不毛感も意味あるシーンだと感じましたが、これを書いてる50代のおじさんからしたら、何も残らない映画でした。

 

 

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