あらすじ

食を通じ、人間の秘められた欲望を暴露していく連作短編映画。
【栗田】という謎の男の登場により、登場人物たちの

内なる性(セクシャル)衝動(ドライブ)が
暴かれていく新感覚ブラックコメディ短編集

 

感想

「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」の後に観たのが、この作品。

 

「納豆」「麻婆豆腐」「背脂大蒜増増」の3編の連作短編の映画で、それぞれの食材とそこにまとわりつくように現れる栗田という中年男性によるフェチ的なエロスから起こるイマジネーションとその先にある価値観の転換のようなものがあって、巧妙なシナリオにかなり驚かされました。

 

とにかく、3作すべてに出演する謎の男栗田役の芹澤興人さんの執拗なまでの言葉責めが、最初のうちは不審者的なんですが、栗田が去った後の展開によって、残された登場人物にそれまでの価値観に対する質的転換のような覚醒が訪れて、物語を終えていく流れがあって、栗田という男によって目覚めされたものというか、食べるという行為と性欲との因果関係の響かせ方が、巧妙に織り込まれていて、本当にすごかったです。

 

さらに3作それぞれに印象が変わることもあって、変な言い方かもですが栗田マルチバースと言っても過言ではないくらい、謎すぎる去就も含めて、異彩を放つ存在を示していました。

 

もちろん、3作それぞれのヒロインたち食べるまたは料理をつくる行為から、間接的に想起させるエロスがあって、ショットとして大変美しく捉えているのも印象的です。

 

今作で一番震えたのはエンドロールで、この映像の効果は果てしなくて、映画全体にあふれる変質的なこだわりが集約されていて、今年一番ショックを覚えました。

 

上映後トークの時間があって、続編の構想やどういう食べ物がエロく感じるかなど、興味深く観させてもらいました。

 

アメリカでも上映されているみたいで、海外でも絶対受ける要素のある作品だと思いますし、小さな作品ですが、かなりオススメできます。

 

 

 

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